要注意! いきすぎた自虐は人を傷つける

 一見、完璧に見えるアシタカですが、すでに多くの人が指摘しているように、彼には劇中でやらかした最大の落ち度があります。
それは、村の娘・カヤからもらったお守りの“玉の小刀”を、そっくりそのまま“もののけ姫”ことサンにあげてしまったことです。

 アシタカのことを「兄様」と呼んではいますが、公開当時のパンフレットやインタビューで明言されている通り、カヤは村の一族が認めたアシタカの正式な許嫁でした。
つまり、アシタカは元カノから別れ際にもらった形見の品を、あっさり新しい女に流用してプレゼントしたということになります。

 これはちょっとデリカシーなさすぎですよね!(イケメンの鬼の首を取ったような下卑たしたり顔で)

 タタリ神から死に至る呪いを受け、村を出ていく運命を背負わされたアシタカには、戻れる場所も、守るべきものもありません。
このときの彼は、「どうせ俺なんか生きていても仕方ない」というやぶれかぶれな“自虐モード”に入っていたと考えられます。

 そして、自虐モードの人間は、得てして「俺なんかが何を言っても/しても大丈夫だろう」という間違った甘えから、不用意な言動でうっかり人を傷つけてしまいがちなんですよ。
これ、自分にも痛いほど覚えがあるから間違いありません!

 出会ったばかりのサンを「そなたは美しい」とか言って軽々しく口説いてしまったり、カヤからのプレゼントをあっさりサンに譲ってしまったりするのも、この「俺なんか…」というひねくれた自意識が引き起こした軽率な行動と言えるでしょう。

 ちなみに、彼のように普段きまじめで正義感の強い松岡修造タイプの人間ほど、こういう逆境に立たされたとき、うっかりマジックマッシュルームに手を出しちゃったりするので要注意。
シシ神の森に幻覚性の植物が生えていなくて本当によかったです(いや、もしかしてコダマとかが見えたのはそのせいかも……)。

 ただ、ポジティブに考えれば、イケメンをオトすにはプライドを打ち砕かれ、自暴自棄になって弱っているタイミングを狙うのが一番ということ。
その際は、カヤのように王道モテする“妹系ゆるふわキャラ”ではなく、ワイルドで生命力の強い“ガチの森ガール”ことサンのように、邪道モテを目指して彼の弱った心に忍び寄ってみてくださいね!

Text/福田フクスケ

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