まさか週5回も?アパートの大家がとんでもない絶倫だった話/中川淳一郎

前回、風呂なしの6畳一間のボロ部屋で極寒の中、なんとか工夫してセックスをしようとした話を書いたが、このボロアパートの大家がとんでもない絶倫だった話を思い出した。大家なのか、その相手なのかは分からないが、とにかくすごいのである。

大家は70代前半と見られる女性で、名前はハッキリと覚えていないので、もう「大家」と呼ぶ。サザエさんのような髪型をし、メガネをかけていた。この部屋を契約する際、元々近くに銭湯があったのだが廃業してしまったため、遠くの銭湯へ行かなくてはならないことを告げられた。「ニノミヤさん、私もね、ここのアパートの人のために、なんとか跡地にコインシャワーの設置をするよう働きかけたりしたんだけどね」と言う。

まぁ、それはあったらあったで有難い話だが、ないものは仕方がない。僕は「別に気にしていませんよ。色々動いていただきありがとうございました」と伝えた。こうして僕の新しい生活がスタートしたのだが、当時はほぼ無職だったため、家にいることが多かった。このアパートは、若者に加え、近くの大学に勤務する教員がセカンドハウスとして借りているようだった。だから、日中は1階・2階の10部屋のうち、誰かがいるのが僕の部屋だけということも多かった。

とあるルーティンに気付いてしまった

雨が降る中、窓を開けて窓枠に右肘をつけて本を読むのが好きだった。このような生活が続くと、とあるルーティンが存在することに気付くようになる。平日の正午過ぎになると、必ずシルバーの軽自動車がアパートの入り口脇のスペースに停車するのである。そして、14時を過ぎたあたりでいなくなる。これが本当に平日、毎日続くのである。

一体誰が何のためのこの車を停めているのか? それを確認するため、ある日の11時55分、このアパートを見下ろす道路の上から観察をすることにした。すると12時7分頃、例の軽自動車が止まり、そこから出てきたのはメガネをかけた髪の毛の薄い長身男性だった。年の頃は68~73歳のどこかと見受けられた。

男性は車を停めるとアパートに入ることなく、道を30秒ほど歩いていく。慣れた様子でドアのカギを開ける。

実はこの家は大家の家だったのである。アパートの裏手に小さな平屋を大家は持っていた。毎月家賃を直接現金で支払っていたのだが、家の中に入ると1階には6畳の和室があり、トイレとキッチンだけがある質素な作りだった。風呂はないと言っていた。というわけで、大家の家の構造は分かっていたのだが、まさかの大家宅を訪れる男性が存在したのだ。僕は見てはいけないものを見てしまった気持ちになり、すぐに部屋へと戻り、読書の続きをした。

その後も特に仕事があるわけでもなく、連日無為な日々を過ごしていたが、次なる疑問は「果たしてあの男性と大家は約1時間45分の間、あの家で何をやっているのか」である。一旦「一体あの車の持ち主は誰なのだ」という好奇心が湧き、探り当てたが、その先の好奇心が出てきてしまったのだ。

そこで、とある日の13時過ぎ、大家の家の前を通った。大家の家にはエアコンがなかったので、夏の暑い日は窓が開いていた。そして、そこで見てしまったのだ……。部屋の中には扇風機が回っており、敷かれた布団の上にはメガネをかけたままの大家が寝ている。そして、裸の上半身にくらいついているのはあの長身男性だったのだ……。