願望だけで物事を決めてしまう前に

相談文を読む限り、あなたは感情先行型のようで、具体的な計画性が見えてこなくてわたしも心配です。
シングルマザー、パニック障害を患っているということで、あなたは家族をはじめいろんな人の手を借りて生活をしていますよね。
両方の親がそろっている育児だろうが、健康だろうが、人は誰にも頼らずに生きていけるわけではありませんし、人に頼れること、そして助けてくれる人がいるのはとても素晴らしいことなんですけどね。

普段から近くであなたを見ている人たちの冷静かつ客観的な意見、医師や看護師などの専門的な意見は、あなたの生活に起こり得る様々な不安やリスクを回避、解消するという意味で、耳に入れてきちんと受け止めてください。
自分の気持ちを押し殺し、周囲の意見を丸のみにするわけじゃなくて、です。
気持ちが先行し、願望だけで物事を決めようとしてしまいがちな時には必要なことです。

「友人や家族や私に遠慮して本心が見えてこない」と仰っていましたが、感情を主体に話していませんか?
もしそうだとしたら、きっと相談された人はあなたの気持ちを否定しないため、わかりやすく反対はできないと思います。
「次の病院はこうする」「医師と相談して病気の治療はこう進めていくことにする」「向こうでの仕事はこうする予定」と生活の具体的な計画、万が一しんどくなったときの対応策などを提示してみてください。
そうすると、周囲の人は「その考えは甘いと思う」「もっとこうしたらいいと思うよ」と、あなたの望む将来のための的確なアドバイスをくれるのではないでしょうか。

無理をしないことが一番の近道

相談文を読んで、あなたは多くの問題を一気に解決しようとしているように感じました。
パニック障害を患っていて去年は倒れてしまうくらい症状がひどかった。彼のことが好きだから別れたくないし、すぐにでも彼のもとに行きたい。彼はこっちにこられないから自分が引っ越すしかないけれど、まだ子供は学生だし躊躇している。でも彼との子供が欲しいから年齢的にも焦っているし、子供が社会人になるまでの1年すら惜しい……と、一つひとつの悩みに向き合うだけでも相当な労力を要するのに、それらの何もかもを一緒くたにしてどうにかしようとするのは、客観的に見てもキャパオーバーしてしまうだろうな、と。

まずは、自分が何を一番に望んでいて、優先したいかを考えましょう。
そして、その望みのためにあなたはやっていけそうか、望んだものを叶えるために具体的にどう行動したらいいか、望んだ通りにならなくてもそれを受け入れ納得する方向に進めるか、優先順位を下げた他の望みとどう向き合っていくか、一つひとつ順番に、現実的に考えていきましょう。
それが、今のあなたにできる最善策だとわたしは思います。
ひとつ気をつけてほしいのは、パニック障害と付き合いながら自分はどこまで頑張れそうかを決める時に、決して無理をしないこと。無理をしないことが、一番の近道ですよ。

恋愛コラムと銘打っているからには、どんな選択であれあなたの背中をドーンッと押したいのですが、医療従事者としてはまずはしっかり病気の治療に専念してほしいというのが正直な気持ちです。
『命に過ぎたる愛なし』というこの連載のタイトル通り、自分の心と身体の健康を第一に考えてくださいね。

最後に、優先しなかった選択肢、選ばなかった道に対して「自分には無理だった」「だから諦めた」と思わないでください。
どうか、「冷静に考えた結果、この道を選んだんだ」と前向きに捉えていただけたらと思います。

Text/ものすごい愛
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