静かなヘルシンキの冬、悪夢のパリ

 ヘルシンキはパリよりずっと人が少なくて、静か過ぎるほど静か。
空港から街の中心まで向かう間での道のりは、真っ暗(このバスの運転手さんも、暗いバス停にいるお客さんに気がつかず、素通りしそうになってました)。
道路には、なんとなくムーミンに出てきそうな木々の気配は感じられます。
これがもうちょっと冬に近づくと道路も木々も真っ白い雪で覆われて、「しーーーーん」という音が聞こえて、木陰からムーミンがこちらを覗いているような気さえするのです。
パリでは絶対にないヘルシンキならではの環境です。
だからこそ、私は好きなのかもしれません。パリも大好きだけれど、やっぱり大都会なので、皆あくせくしているのです。

 ヘルシンキで迷って道を尋ねれば、100%やさしく答えてくれるので、気温は凍りつくほど寒さなのに、心がほっと暖かくなる気がします。
パリだとそんなのないですからね。
クリスマスシーズンが近づいて、日照時間が減り、さらに雨なんか続くとバスや地下鉄、スーパーなど公共の場にいる人たちの表情がどっと曇って、なんだかみんなとっても意地悪になります。
ちょっとぶつかっただけで大喧嘩になったり、接客もいつも無愛想なのに、さらに無愛想になる!
アムールの街、パリなんていっても、ロマンティックどころか悪夢のパリの様相です。
ただパリの街は、寒くなれば白い霧が立ち、雨が降れば石畳が濡れてセクシーになり、年がら年中美しいのはさすがです。

 なんだか今週は旅路のつれづれになってしまいましたね。
これから11月の頭まで日本に滞在して、最近、日本に帰るときは少し外国人目線になって新鮮に見える日本の色々についてお話しようと思います。

Text/中村綾花

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