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女性の足かせをはずしたい。卵子凍結という選択と、男性妊活の推進を!『Stokk』西史織さん×『Seem』入澤諒さん

女性の社会進出がすすみ、やりがいを持って働く人が増えてきた昨今。「20代のうちに留学したい」「いつかはフリーランスに」といったキャリアプランに目を向けつつも、頭の片隅に結婚や出産がちらつく女性も多いのではないでしょうか。

しかしながら現在、晩婚化やそれに伴う子宮内膜症、卵巣癌などの疾患増加で、不妊(妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しないもの)で悩まされているカップルは、国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査によると、5.5組に1組とされています。

今回、ミレニアル世代の女性たちの“好き”を仕事にするための指導・サポートを行うキャリアスクール「SHElikes」が、妊娠・出産を見据えた『ライフプラン設計講座』を開催すると聞き、イベントに参加してきました(2月20日開催)。

ライフプラン設計講座

「体調不良で産育休を取りやすい会社を退職して、思い描いていたライフプランが途中で一度崩れたんですよね」
「旦那と離婚したことがきっかけでSHElikesに入会したんですが、“いずれは子供が欲しい”と思っているので、今回の講座を受講しました」

ライフプランが思い通りにいかない原因は、不妊だけではありません。今回来場していた女性たちも様々な理由から、改めて自身のライフプランを考え直そうとしていました。

では、私たちがライフプランを立てる上で何を考慮すればいいのか。今回は講座や、イベント終了後に行われた登壇者へのインタビューを通じて今後のヒントになれば嬉しいです。

「どんな人生を歩みたいか?」から逆算してみると…

イベント会場となった「SHElikes」銀座拠点は、パステルカラーの壁紙や1点モノの家具、インテリアが並ぶ、お洒落で落ち着いた空間。そんな会場で、参加者たちが互いに自身の仕事や参加理由を語り合う中、イベントが始まりました。

イベントの登壇者は、

日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックで臨床医として働きながら、ヘルスケア企業にて医療監修のチーフアドバイザーを務めている月花瑶子先生

金融・IT企業を経て、2019年に株式会社ステルラを創業。卵子凍結・不妊治療の福利厚生プラットフォーム『Stokk(ストック)』を運営しているCEOの西史織さん

新卒入社した会社で女性の健康情報サービス『ルナルナ』の運用に携わった後、株式会社リクルートライフスタイルで、スマホで精子のセルフチェックができる『Seem(シーム)』を開発した入澤諒さん

まずは、当日司会を務めたSHElikes事業責任者の金井愛理さんから、ライフプラン設計をする上で検討すべき要素(暮らしてみたい国や地域、今の企業で描けるキャリア、両親兄弟との関係など)や、「“どういう人生を歩んでいきたいか”から逆算して、今後のキャリアプランを考える」といったポイントが伝えられました。

ライフプラン設計講座

その上で、考慮しておかなければいけないのが妊娠・出産。月花先生によると、「妊活を開始する前に、結婚を機に検査を受けたいという女性が増えている」とのこと。検査にかかる料金は、子宮卵管造影(HSG)なども含めるとトータルで4~5万程。また、月経周期による変化を観察する必要があり、検査完了までには大体1~2ヶ月を要するそうです。

入澤さんは妊活に関する様々なデータを提示。中には、「自然妊娠によって絶対に3人の子供が欲しい場合は、23歳からの妊活開始が推奨されている」など、驚きのデータも。「女性の働き方が変わって妊娠・出産は先延ばしとなっている一方、生物としての身体は変わらないので、そこのギャップを理解して自分のキャリアプランを考えるのが重要」だそう。

また、年齢と共に女性の身体にある卵子の老化はすすみ、数自体も減っていきます。それが原因となり、妊孕力(女性の生殖能力)の低下に繋がることも。その事実を知り、自身も卵子凍結を行なったという西さんは「今すぐ妊娠したいと思わなくても、そういう知識を知ることや、選択肢があるということを心に留めておくだけでも今後に繋がる」と参加者に伝えました。

ライフプラン設計講座

一方、不妊の原因は女性側だけにあるとは限りません。男性にも、精子が少ない「乏精子症」や、精子の運動率が低い「精子無力症」といった不妊に繋がる疾患があり、WHOが定めた下限基準値より精子の数・動いている割合・精液の量のいずれかが低い男性は、なんと4人に1人。妊活への男性参加が遅れてしまうことで、受診料や治療費で多額のお金と時間がかかってしまうという現実が……。
入澤さんは「精子の状態は改善できることもあるので、治療のステージが下がれば、女性の身体やお金の負担も少なくなる」と、最初からカップル揃って妊活に参加する大切さを語りました。

ライフプラン設計講座

イベント終了後には、「卵子凍結という選択肢があることを初めて知りました」「さっそく『Seem』のURLを旦那に送りました!」という参加者の声が。そんな妊活に関するサービスを展開している入澤さん、西さんにお話を伺いました。

妊活のソリューションのひとつとして

――入澤さんが、『Seem』を開発しようと思った経緯を教えてください。

入澤

前職で『ルナルナ』に携わっていた時、婦人科の先生が「妊活中に男性が何もしていない」と課題を口にされていて。「この経験を活かして自分にできることは何だろう」と考えていたときに、今の会社の新規事業として『Seem』のアイデアが浮かびました。病院で不妊検査を受けた経験のある男性上司にこの話を相談したら、「当時は恥ずかしくて病院に行きたくなかったけど、Seemがあったら使ってたよ」と後押ししてくれて。

――男性が妊活に踏み出すきっかけになるサービスですよね。ただ、なかなか女性からは「測ってみてor使ってみて」と切り出しづらいです……。なにか良い提案方法はありますか?

入澤

「不妊かもしれないから使ってほしい」と言うより、「とりあえず測ってみて生活改善しようよ」と提案してみると、男性側も手を出しやすいかも。中には、「自分に不妊の原因があったら男として終わりだ」みたいに捉えてしまう人もいるんですよ。もし精子の数や運動率が下限基準値を下回ったとしても、日々の生活習慣で改善する場合があることを知らない男性が多いので、『Seem』を使うことでかなり意識は変わると思いますよ。

――そして、西さんが運用する『Stokk』をスカイマーク株式会社が試験導入したというプレスリリースを拝見しました。卵子凍結はもちろん、利用しない従業員に対しても、不妊治療のサポートを行っていらっしゃるんですよね。

西

最初は、卵子凍結だけで考えていたんですが、営業先で「女性だけ、しかも限られた人だけしか使えないものは福利厚生として取り入れにくい」と相談されたことがきっかけでした。卵子凍結はまだまだ潜在的なニーズで、不妊治療の方が顕在化している。だから、不妊治療サポートもサービスに含めました。
私は、ただ卵子凍結をしてほしいというわけじゃなく、頑張る女性たちの足枷になっているものがあれば、それを取り除きたいんです。「仕事も頑張りたいし、プライベートも楽しみたいけど、結婚や妊娠も考えなきゃ」と、アクセル踏みながらブレーキかけている女性たちのソリューションの1つとして『Stokk』をはじめました。選択肢があるだけで、不安が少し解消されると思うんですよね。

――営業先での反応はいかがですか?

西

反応に性別差はないんですが、その人の経験値によって違ってきますね。例えば、不妊治療を経験している人であれば男性でも理解してくれますし、逆にバリバリ仕事をしてきた出産未経験の女性には伝わりづらいこともある。でも、人事の方は“従業員が必要としているもの”を考えてらっしゃるので、基本的には理解を示してくれます。ただ、やっぱり卵子の老化については知らない方が多いという印象です。