「さっさと捨てればよかった」セックスが微妙な恋人もヘアアイロンも

先日、ヘアアイロンで髪の毛を巻いていたところ、誤って落としてしまい、首筋に火傷を負いました。ヒリヒリと痛むのはもちろんのこと、一見して痣のようにも見える薄くて赤いかさぶたができてしまい、まるっきりキスマーク。これが四十路妻の立場としてはマジで恥ずかしい。
「年齢なんて数字」「ママの前にひとりの女」といくら普段、胸を張っていたところで、「キスマークを堂々と晒すなんて、わざわざなんのアピール?」と思われることには抵抗があるし、だからっていちいち会う人たちに「これ、ヘアアイロンで火傷したんですよ」と前のめりに弁明するのもわざとらしい。

そもそも我が家のヘアアイロンは、買い替え時なのです。だってかれこれ10年近くも愛用している上に、先端についているスチーム用の水タンクの部分が取れてしまい、加熱される先端が剥き出しになっていている。なので、指先に水膨れを作ったり頬を火傷したりと、ひと月に一度は必ず怪我をする。

でも、その不便さにさえ目を瞑れば、まだまだ使えるのも事実です。そもそも火傷をするのは、わたしが不注意だからで、気を付けて使えばいいだけのこと……と思っていた先日、行きつけの美容室でカットとカラーを終えて、セットしてもらっている最中のことでした。「あれ、これ、どうしたんですか?」と、首の火傷に気が付いた担当美容師さんに問われたのです。

ああ、これは実は……と顛末を話したところ「やだー、それ危ないですよ」と笑い、そして続けて言ったのです。「新しいの、買えばいいじゃないですか。だって買えますよね」

そう“買える”。が、わたしが新しいヘアアイロンを買うのを迷っているのは、古いヘアアイロンがポンコツなりに使えるから。経済的理由、次のギャランティが入るまでは“買えない”ということはない。ようするに“買わない”という選択肢をしているのは自分なのです。そして、わたしにはこういうことが多々ある。