ふたつめは「闖」

ふたつめは「闖」という字。
門構えに馬という字……いや、もう、ね(笑)、なんとなくわかっちゃいますよね。

春画―ル所蔵

正解の読み方は「闖(ば)」です。
「馬」の字からなんとなく読み方は想像できるのですが、肝心の意味は何なのでしょうか。

笹間良彦著「好色艶語辞典」によると

闖(ば)

日本の作字で門の下に馬。股下に馬並のものがある意で、達者な男茎、好色男の男茎をいう。

こんな字を使用することは一生に一度あるかないかなのですが、いくつか用例を考えてみました。

(例1)前にお付き合いしていた方は、どちらかというと闖で御座いました。

(例2)春画で描かれる男根は闖であることが多く、これは誇張させることにより笑いを誘う表現方法の一種です。

(例3)わたしにとって大切なことは闖であるかどうかではなく、房中での相性です。

みなさんもせっかくなので使ってはいかがでしょうか、闖!

ラストは「毳」

ラストにご紹介するのは「毳」です。

「毛」が3つも並ぶと、木が森になるように、かなりオケケだらけの意味とイメージしてしまいますね。読み方は、このまま「もう」と読みます。

しかし問題なのは、どの部分がオケケであるかということです。

春画―ル所蔵

毳(もう)という字はアンダーヘアを指し、「金瓶梅」という有名な中国の古典に「臍下毳毛皆刺其股」という部分が登場するようです。

日本で生まれた字ではないようですが、892年に僧 昌住(しょうじゅう)が編集した漢和字典「新撰字鏡(しんせんじきょう)」にもこの「毳」の字は掲載されていました。

新撰字鏡 享和3年「毳」〈国立国会図書館デジタルコレクション〉※平安時代のものではなく江戸期の異本です

いかがでしたでしょうか。初めて見たという字が多かったのではないでしょうか。

春画―ルはこの記事を書くにあたり、始めて「新撰字鏡(しんせんじきょう)」を国会図書館デジタルコレクションで閲覧したのですが「なにこれ!知らない!」という字がたくさんあり、見ているだけでも楽しかったです。

また機会があれば艶めき字を紹介しますね。

〈参考文献〉
「好色艶語辞典」笹間良彦編 雄山閣
「漢字源 改訂第六版 特別装丁版」株式会社学研プラス
「全訳 漢辞海 第四版」三舎堂
「新撰字鏡」 :12巻改異.巻三-巻四
「新撰字鏡」 :12巻改異. 巻七-巻八巻
「新撰字鏡」 :12巻改異.巻十一-巻十二

Text/春画―ル