楽しみ上手は生き上手
だけどレキジョとか、オタクとか、腐女子とか、物語の魅力にどハマりできる女子たちは心の底から羨ましい。何しろ彼女たちは楽しみ上手だ。壮大な歴史の中の物語に、あるいは無限に広がる架空の物語に、一様にロマンを馳せる。ときには登場人物達をオリジナルの物語の中で独自に動かしたりしてもっと楽しむこともできる。楽しむ能力に長けている人は紛れもない“生き上手”だ。
宮台真司さんの『今、幸福について語ろう』という本は、宮台さんが各業界のトップクリエイターと対談されている対談集である。この中の、写真家・青山裕企さんとの対談で宮台さんは、奥様と結婚したいと思われた理由の一つとして、人を楽しませる能力に長けていたからだと語られている。そういう女性は今とても少ない、とも。
「楽しませる」って、あらためて考えてみると確かになかなか難しいことだ。相手をいい気分にさせるには相手の望む反応を返せばいいし、面白がらせるには自分が道化になればいい。どちらも相手を観察していれば簡単なことだけど、「楽しませる」には、ちょっと違うアプローチを必要とする。何しろ相手の意表をつくことをしなきゃいけないのだ。反応をうかがって後手にまわるのでなく、先手を打つ必要ある。且つその一手で、ワクワクさせなきゃいけないのだ。
ワクワクする気持ちとは、決して今だけがいい気分なのじゃなくて、これからの未来にも何か継続的に素敵なことが起きそうな、嬉しい予感のこと。楽しませることができる人とは「私についてくるといいことがあるよ」を体現できる人なのだろうと思う。