気にしたって変わらない

私の髪は、かなりの直毛で、質もかなりいい方らしい。しかも、茶髪が似合わず、もう10年以上髪を染めていない。毛先が痛んでいても、きれいに見える、らしい。そういえば、髪を褒められる機会は多いような気もする。せっかくの長所なのだから、さらなる高みを目指せばいいのに、それをしないのは私の惰性とも言える。

私は自分の容姿があまり好きになれないのだが、容姿に比べると髪にコンプレックスを抱くことも、人と比べてむなしくなることもない。でも、「髪、きれいですね」と言われると、特に何かしているわけでも、こだわりがあるわけでもないので「はあ。そうですね」くらいにしか思わない。
よく考えてみれば、髪にこれだけ気を遣わないでもきれいに見えるのは大きな長所であるはずだ。しかし、容姿だけではなく、自分に対してコンプレックスだらけで卑屈な私は、自分は人よりも劣っていて、目立った長所のない人間だと思っていた。いや、今も思っている。自分に対して、自信なんて全然ない。

自分のいいところを探そうとせずに、自分の欠点や駄目な部分、足りない部分ばかり気にしていただけなのかもしれない。

完璧な人なんていないし、どういう人を「きれい」だと思うのかも、人それぞれだ。不思議なことに、欠点があるからこそ、バランスよく見えるものもこの世にはあるらしい。
自分の短所や人より劣っている点は、気になる。けど、気にしていたって変わらない。なくしたとしても、新たに気になる部分が無限に湧いてくる。だからこそ、自分のよい部分を見つめて、もっと相手の誉め言葉や、自分のことを受け入れられるようになってさらに伸ばしていければ、理想的だ。

それでもやっぱり自分の髪には興味がなくて、ドライヤーで乾かしたらぼさぼさになってしまった……せっかく、乾かし方もうまくカールが出る方法も教わったのに失念している。なんか、こう、髪をファッと持ってくるくる回す感じ……わ、本当に忘れている。
そして、今回担当してくれた方に「カットだけでもいいので、2か月くらいしたらまた来てくださいね」と言われ、「2か月後、美容院にまた行くの? 嘘でしょ、まじで?」という悩みもうっすら抱えている。

美容院、行きたくない。はあ、私はどうすれば……。

Text/あたそ