怯えることなく、肩の力をぬいて

本当に馬鹿げた理由で恐縮ではあるのだけれど、今年の「Summer Sonic」に行ったとき、「HIGHER BROTHERS」という中国・成都出身のヒップホップユニットのライブに惹き込まれててしまったことが要因だった。何も知らない状態で見て、見事に好きになってしまった。フェスの醍醐味をまんまと味わってしまい、そのあと歩いていると、まあ目立つアジア人がいるではありませんか。

そう。先ほどまでステージに立っていたHIGHER BROTHERSのメンバーが目の前にいた。えー? みたいな。あんなすごいライブする人がこんなところにいていいんです? みたいな。当然周囲の人は誰も気づかず、ああだのこうだの言っているのは、友人と私だけ。

興奮していた私たちは、話かけ、先ほどのライブがとてもかっこよかったことを伝え、握手をし、一緒に写真を撮ってもらった。好きなバンドの人に会う機会は、今まで何度かあったけど、写真を一緒に撮ってもらうなんて10年ぶりだろうか。
音楽性や見た目の割にかなりの好青年で、とてもいい思い出になった。来年中に中国まで見に行きたいと思うくらいには。

しかし、私の勉強不足なのか緊張なのか、英語がまったく出てこない。英単語を並べても、言葉のなかに自分の気持ちや感動が全くのせられていないような気がした。それが、私にとってはすごく恥ずかしいことで、なんとかしないと、と思ったのだった。

こういう風に何かをはじめるきっかけは、突然現れる。でも、そのきっかけが訪れたとき、私はやめる言い訳じゃなくて、なんとか続けるための理由を見つけたい。遠い未来の「いつか」を今日や明日にできればいいと思う。
大学受験用のアプリをダウンロードして、通勤中と寝る前に少しやってるだけ。でも、今のところ三日坊主にならずに継続できている。

心が動かされるきっかけは意外といろんなところにあって、今の自分では無理だと思っているようなことでも挑戦してみたら大したことなんてないのかもしれない。何かに怯えることなく、肩の力を抜いて、くだらない理由でもいいから試していきたい。

まあ、英語は今のところ身についている感じが一切しないのだけれど……。

Text/あたそ

次回は<できてしまった傷に「いいね」と言う、ドイツ人との出会い >です。
趣味の海外旅行に出かけたあたそさんは、香港のドミトリーで年下のドイツ人と出会いました。5年以上前にできた、手の甲の大きな傷跡を見た彼は一言、「いいね」。このエピソードから考える、日本を離れてみる意義のお話です。