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  • 2014.03.25

冴えないケータイ販売員(36歳男)がオペラ歌手に?その裏側には、彼を支える女性が…『ワン チャンス』

 いじめられっ子で、デブで、冴えなくて、ケータイショップのアルバイター。
主人公の要素が何一つない。映画でいうと脇役。いや、脇役ですらないかもしれない。町の片隅でただ通り過ぎるだけ、フォーカスが合わずボンヤリと映り込むエキストラでしかない。
でも、そんな男が主人公の映画があるのです。

 頼りがいのある一人の女性に励まされて、夢と希望を忘れず、自分を信じて生きてきたからこそ。彼が主人公になる瞬間の映像はいまやYouTubeで1億回以上も再生され、世界中に知れ渡っている。
これは、たった“ワンクリック”から広がる“ワンチャンス”の実話です。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと デヴィッド・フランケル ジェームズ・コーデン ポール・ポッツ ギャガ ONE CHANCE アゲマン 人生 歌声 挫折 ジュルズ 愛 オーディション
© 2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.

 2007年、イギリスの大人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』の会場で大喝采を浴びた、一人のケータイ販売員。ずっと負けっぱなし人生だった彼の身に起こる、挫折と栄光の物語です。

 実在する主人公ポール・ポッツを演じるのはブロードウェイで上演された『One Man, Two Guvnors』でトニー賞を受賞し、一躍時の人となったジェームズ・コーデン。彼を主演に軽快なコメディタッチで描き、最後には必ず感動を約束してくれるのは『プラダを着た悪魔』のデビッド・フランケル。
『誰も寝てはならぬ』『清きアイーダ』などの名曲が主人公の灰色に包まれた人生をバラ色に変え、その成功を華々しく彩ります。


負けっぱなし人生を支えた女性の存在

 【簡単なあらすじ】
 歯並びが悪く、デブ。そのせいで幼少期からいじめられ続け、自分に自信が持てないポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)にはオペラ歌手になる夢がある。
誰からも馬鹿にされ続けてきた彼に初めてできた恋人、そして良き理解者・ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)は彼の心の美しさを知り、才能を信じ、励まし続ける。

  携帯販売員の仕事をしながら、夢を信じて生き抜いてきたポッツにやがてチャンスが訪れる。憧れの声楽家・パヴァロッティの前で歌う機会に恵まれたのだ。
しかし、彼はそこで大きな挫折を経験する。もはやオペラ歌手の道は閉ざされたと落ち込むが、妻になったジュルズや友人に支えられ、あるオーディション番組に挑むことになる——。

ジュルズのアゲマンっぷりが世界中に感動を与える

 一言でいうとアゲマンのお話なのです。
どこをどう切り取っても、ジュルズがいなければこの映画は感動作にならない。映画にすらならない。ボールは一生自分に自信が持てないまま、歌の才能を信じることもなく、オーディション番組にも応募しない。

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 才能だけが存在しても意味がない。それを支える人、見つける人、伝える人の重要性がはっきりと描かれている。それに次々と襲いかかる困難が多ければ多いほど、周りの人は彼の信念に気付き、応援し始める。

 観ているといつの間にかポールの夢を応援してしまう。観る人の目にうつるポールの姿は、自分自身への応援に重なるのかもしれません。美化でも美談でもなく、何事も自分を信じてやり抜けば夢に近づくことができるのかもしれない。
ただ、ポールを演じるジェームズ・コーデンは本人よりイケメンなので、ちょっと美化されています。それも愛嬌という事で……。


     

その歌声には喜びも悲しみも全部詰まっている

 事あるごとに「何事も一歩よ」というジュルズのアドバイスがポールの心に触れる。そのたびにポールが町の片隅から、またはある難しい境地から、一歩ずつ前進していく。
この頼もしさが無ければポールの夢は実現しなかった。彼にとっていかに恋人、やがて妻になる彼女の存在が大きいか。ジュルズがこの奇跡のストーリーの大部分を担っている。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと デヴィッド・フランケル ジェームズ・コーデン ポール・ポッツ ギャガ ONE CHANCE アゲマン 人生 歌声 挫折 ジュルズ 愛 オーディション © 2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.

 だからこそ、ポールの歌声には喜びも苦しみも全部が詰まっている。それは、観る人の過去から現在までも一気に遡る。その歌を“才能”の一言で表すのは勿体ない。
生活、仕事、そして何よりも恋人の存在まですべてが歌声に乗る。それが観客、審査員、視聴者に届き、その後YouTubeで世界中に広がり、映画になった。

 その事実に心が突き動かされる。今、何一つ花開かない人にとって、この映画はポールにとってのジュルズのように頼もしい存在なのです。
ポールの喉元に突っかかっていた希望が口から飛び出し、スクリーンを突き抜けてくる。その瞬間、観る人にもとめどない希望が降り掛かる光景が目に浮かびます。

真実の愛は、ワンクリックでは映しだされない

 ワンクリックで体験できる感動はあります。この物語の中心であるポールの歌う姿だって、スマホやパソコンからいつでもどこでも再生できる。YouTubeの動画ですでに観ることができる奇跡です。

 しかし、そこに映っていないのはポールの生活であり、ジュルズの存在です。
いくら手元で輝く姿だけを再生しても、それに気づくことは難しい。才能は目に見えても、それを開花させた愛は目に見えない。
その愛を感じさせてくれるのは、この映画だけなのです。


3月21日(金・祝)TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー

監督:デヴィッド・フランケル
キャスト:ジェームズ・コーデン
楽曲吹き替え:ポール・ポッツ本人
配給:ギャガ
原題:ONE CHANCE/2013年/イギリス映画/104分
URL:映画『ワンチャンス』公式サイト
Facebook:公式Facebookページ
Twitter:公式アカウント

Text/たけうちんぐ

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