• love
  • 2016.01.09

同窓会と入学式が一気に!前作観なくても楽しい『スター・ウォーズ フォースの覚醒』

銀河帝国の残党から生まれた悪の組織「ファースト・オーダー」とレジスタンスの戦い。ルーク・スカイウォーカーの行方と、新ヒロイン・レイの正体とは——。ヒットメーカーJ・J・エイブラムス監督が手掛ける『スター・ウォーズ』シリーズ最新作。

リナ氏3
©2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved

 あれから何十年経ったか、まるで少年のようにスクリーンに目を輝かせてしまう。上映が始まると劇場内で歓声が沸き立つ。暗くなると「来るぞ〜!」。ルーカスフィルムのロゴが映ると「うぉ〜!」。“A long time ago in a galaxy far far away”で「うわ〜!」。
そして、あの音楽が始まると拍手喝采。まるでライブ会場のような盛り上がりに、思わず胸が躍る。

……なんて、話に、ついていけない人の声の方に耳を傾けたい。
フォースって何?  ダークサイドって?  てか、ダースベイダーって中の人がいたの?  その真相を知るには6本分の前作を復習しなくちゃいけない。気が遠くなる。なんて思ってはいないでしょうか。

 その必要は全くありません。本作を観れば一目瞭然。『フォースの覚醒』はある意味『スター・ウォーズ』シリーズの総集編であり、間口の広い入門編なのです。

 言わずと知れた世界中が待ち望んだ『スター・ウォーズ』シリーズ最新作。1〜6作目を手がけたジョージ・ルーカスが退き、今回の7作目はハリウッドを代表するヒットメーカーJ・J・エイブラムス監督がメガホンを取る。以前は『スーパーエイト』でスティーブン・スピルバーグに、本作ではジョージ・ルーカスに、リスペクトを痛いくらいにリスペクトを込めています。

 新ヒロイン・レイ役にデイジー・リドリーが無名からの大抜擢。『アタック・ザ・ブロック』で悪ガキを演じたジョン・ボイエガや、アダム・ドライバー、ドーナル・グリーソンといった新キャストに加え、マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャーといったオリジナル3部作のメインキャストも勢ぞろい。同窓会と入学式が一気に行われる新シリーズ。その魅力とは?

“新参”と同じ目線に立ってくれる新キャラクターたち

リナ氏3
©2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved

 本作がシリーズの入門編である理由として、新たなキャラクターが『スター・ウォーズ』の世界観を熟知していない点が挙げられる。
新ヒロイン・レイと、脱走兵・フィンの視点はまさに“新参”そのもの。「ジェダイ」も「フォース」も話でしか聞いたことがなく、「ルーク・スカイウォーカー」も伝説としてしか知らない。

 これら3つの単語はシリーズを味わったことのない人にとって、すでに疎外感を覚えるもの。しかし、新たに加わったキャラクターがこうした“新参”の観客と温度差がないため、本作で初めてシリーズに触れる人でも目線を置きやすいのだ。

 それでいて旧シリーズのファンを喜ばせるオマージュの連続と、もはや世界共通言語になった固有名詞の再登場。実際、初日初回の劇場では「R2-D2」や「ハン・ソロ」が登場すると拍手が起きた。その上で個性的な新キャラが物語に振り幅を持たせる。

 極めて現代的なダメ男子っぷりを発揮するフィン。レイへの不器用な愛情を注ぐ姿が一周して可愛い。中二病感溢れる黒ずくめのカイロ・レン。ダースベイダーに憧れてコスプレをして、突然キレたりして周りに距離を置かれている。これまた一周して可愛らしい。

 そんなちょっぴり“今風な”キャラクターが暴れ回り、一切飽きることなく小刻みに物語が進んでいく。

衝撃的な展開と、新たな真相。早くこのページをめくりたい!

リナ氏3
©2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved

「こんなのエピソード4〜5の焼き直しだ!」

 このような否定的な意見はもちろんたくさんある。総集編とも受け取れる本作の欠点はそこだが、逆に新たにこの世界に入り込む人にとってこんなに親切な最新作はない。

 J・J・エイブラムスは映画史上空前のプレッシャーを味わっただろう。ジョージ・ルーカスですら、新作を作るたびに批判されるのが嫌で降りたという。そんな頭が凝り固まった世界中の『スター・ウォーズ』ファンを相手に、「色々と小難しいことを考えてきたけど、そういやスター・ウォーズってこんな話だったよな」と原点回帰できるものを分かりやすくポップに作り上げた。

 さらに旧作がもつアナログ感溢れるぬくもりも忘れない。
極力VFXに頼らず、特殊メイクやロケーションでその世界観を構築する。それはかつてビテオテープで観た『スター・ウォーズ』を思い出させ、J・J・エイブラムス自身もルーカスのフォロワーだと自認し、同じ目線に立ってくれているかのようだ。

 これを「ファンメイドの新シリーズ」と揶揄する人もいるが、本作には衝撃的な展開や新たな真相が用意されている。
レイの未知なる能力が示されるストーリーに、その正体が早く知りたくなる。次のエピソードを予感させるエンディングに心がザワザワする。これに微塵も胸が躍らないファンなんて本当にいるのだろうか?

 誰もが知っているシリーズだからこそ、もう一度どういう作品だったのか改めて振り返りたい。それは初期衝動とも言える。 リスペクトに溢れた『フォースの覚醒』は、『スター・ウォーズ』シリーズの入学式であると同時に、優しい先輩たちがもういい大人なのに少年のような目を輝かせている同窓会でもあるのだ。

あらすじ

 エンドアの戦いから約30年後。最後のジェダイであったルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が姿を消し、銀河帝国の残党から生まれた悪の組織「ファースト・オーダー」とレジスタンスは戦っていた。
レジスタンスのパイロットであるポー・ダメロン(オスカー・アイザック)は惑星ジャクーでルークの居場所が記された地図を手に入れるが、カイロ・レン(アダム・ドライバー)率いるストーム・トルーパー隊に捕らえられ、ドロイドBB-8に地図のデータを預ける。
そのストーム・トルーパー隊にいたフィン(ジョン・ボイエガ)が脱走し、やがて砂漠のオアシスで廃品収集をする女・レイ(デイジー・リドリー)と出会い、広い銀河の旅をともにする。

全国公開中

監督:J・J・エイブラムス
キャスト:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、オスカー・アイザック、アダム・ドライバー、ドーナル・グリーソン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:STAR WARS: THE FORCE AWAKENS/2015年/アメリカ映画/136分
URL:『スターウォーズ/フォースの覚醒』

Text/たけうちんぐ

ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

今月の特集

AMのこぼれ話