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  • 2016.11.10

「若い女に乗り換えたら刺す」でプロポーズ。先輩女子が語る結婚の先

初めましての恋バナ図鑑、中目黒で出会ったハナちゃんの第二回は「忘れられない、今でもいちばん好きな人」と別れたあとに出会った現在の夫とのエピソード。「好きだけど、ディープキスはできない」という彼女がそれでも取材スタッフに結婚を勧める理由とは?

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©Poiboy

 中目黒駅前でナンパをし、馬肉にシャンパンで飲み始めた40代のお姉さま2人組。
その内の1人、専業主婦ハナちゃん42歳の恋半生はあまりにも劇的で、3時間経過してやっと旦那さんとの馴れ初めに到達した。
出会いは、ハナちゃん22歳の時だった。

7年付き合った先に、自分からプロポーズ

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最愛の人と悔いの残る結末を迎えてしまった22歳のハナちゃん。そんな彼女が至った境地は「もう金しかねえな」だった。これまで恋愛ばかりをしていても、1つの破局でこんなにも人生観が変わるものなのだ。
百貨店で総合職として働いていたハナちゃんは、退勤後にカラオケ屋でバイトをするというダブルワークをはじめた。そこで出会ったのが旦那さんだった。

「世の中お金だ! 男など知らん! ってなった時に限って、出会ったりするんだよね」

 求めているときは手に入らないのに、呪縛から解かれた途端にやってくる、それはきっと本当によくある話。
いつの間にかチューをしていて、いつの間にか付き合いだしていた。
旦那さんは当時、駆け出し中の建築士で、「すごい真面目な人」だった。
一級建築士を目指す旦那さんは、自分から思いを言うようなタイプでもなければ、なかなか結婚を言い出すような人でもない。

「就職して5、6年経って中堅の立場になると、私生活への欲求が出てくるしまわりも結婚していくし、本当にコイツは結婚してくれるかってイライラしてくるよね。それで、29になった時に限界をむかえて私からプロポーズした。“刺すよ”って

 付き合いだして7年が経った29歳の時、ハナちゃんは旦那さんに言い放った。“来年30になるのに、もしもそこであんたが若い女にでも走ったら、本当に刺しちゃうかもしれない”と。それに対しての旦那の返答は“だよね”
そして、30歳になる2カ月前に結婚した。

 今は建築士として成功した旦那さんと猫と一緒に、恵比寿で暮らしている。
はじめに「旦那さんは建築士」と聞いた時に「セレブ!」とはやし立てた自分が少し恥ずかしくなる。下積み時代からしっかり支えた結果の結婚だった。

みんな、結婚してほしい

 ハナちゃん・ハナちゃんの友人・私(舘そらみ)・編集Oの4人のうち、既婚者はハナちゃんだけだった。
お酒が回ってくるにつれ、ハナちゃんは何度も私たちに結婚を勧めた。

「結婚にいい話聞かないって言うじゃん。でも私は結婚って、よくも悪くもすべて含めて、いいことだと思う。だからみーんなに結婚して欲しい。嫌だったら、別れればいいだけの話。でも別れるのはそう簡単じゃない、その矛盾が、結婚」

 “結婚した方がいい”と繰り返すハナちゃんに、揃いも揃ってワーカホリックで一人好きな私たちは「まあ、そうなのかねえ…」と煮え切らない態度を取っていた。
そんな我々に、ハナちゃんが金八先生ばりの情熱で語りかける。

「結婚したらやりたいことができなくなるっていうのはおかしな話で、結婚したってやりたいことはやればいい。子どもを産んで面倒を見てってことに自信がないなら、それを結婚とセットに考えなくていい。好きな人と一緒にいることで何かができなくなるとしたら、そんな人生ダメでしょ

 “仕事したいし…人と暮らすの難しいし…”そんなことを愚痴愚痴言う私たちに放ってくれる言葉は、あまりにもまっすぐだ。

「1人になるのが怖いとかじゃなくて、もう家族なんだよね。代えのきかない、家族そのものなんだよ」

 金八先生は、ゆるぎない情熱で何度も「家族」と続けた。馬肉屋に家族の言葉が響く。「ま、私も旦那も浮気するけどさ、そういうのは関係ないんだよ」とサラっというハナちゃんの言葉に、「あんた浮気してるんかい!」と未婚者たちが一斉に突っ込む。

 「え? してるよ、当然」
金八先生は、浮気について語り始めた。

≫代えのきかない恋をしよう≪

「この人しかいない」大切な旦那と、女のプライドを支える彼氏

「結婚した次の年から、ずっと続いている男はいる。私が女でいる、ギリギリの歯止めをしてくれる人だよね。いなきゃ死んじゃう。でも、いるなんてことをこうやって口にすることは絶対ない」

 日頃絶対に口にすることがない彼氏の話に、少し顔が強張る。

「旦那さんとも月一でエッチはするよ。ちゃんとしたのじゃないけどね。旦那も奥さんに対してそんな頑張れないでしょー。私も旦那にそれは求めないし」

 そして、彼氏と旦那とのセックスの違いを教えてくれた。
それは、旦那とはディープキスはできない、と。

「チュッチュチューはするよ。でも、ベロベロはできない。前はできたけど、いつの間にかしなくなったし、もしかしたらチュッチュも今後はなくなるかもしれない。旦那との関係だってどんどん変わっていくからね」

 ハナちゃんは、我々の顔を1人ずつ見つめながら、さらに続けた。

変わっていっていいの。だって家族だから。離婚するつもりなんかないし、絶対に自分の旦那がいい。旦那大好きだよ、ベロベロはできないけどね。もう親兄弟と一緒で、離れられない」

 ハナちゃんの言葉は、あまりにも強かった。
「浮気してんじゃん!」なんてツッコミはもうどうでもよくなった。もうそんなレベルじゃない。さらに言えば、ハナちゃんは韓国に若い彼氏まで持っていた。

「3ヶ月に一回くらい行って、若い彼と遊ぶの。もしかしたら金目当てかもしれないけど、それでいいと思うの。昔おじさんにかわいがってもらってたお返しだよ」

 少し舌が回らなくなりながら、ハナちゃんは私と編集部Oに力説した。もう私たちも若くはないが、ハナちゃんよりはかなり歳下だ。

「若いからってみんなかわいがってくれるでしょ? それって大事なことだと思うの。私もそうさせてもらってきたから、若い子にはとにかく気持ちよくなってもらいたい。それはこっちの押しつけかもだけど、私の心意気! そういう循環だと思うから」

 ハナちゃんたちが私たちと飲んでくれた理由が分かった気がする。
中目黒駅前で途方に暮れていた私たちを、救ってくれたのだろう。恋バナが話したかった訳でも、タダ酒が飲みたかった訳でもない。これは彼女たちなりの、年下への心意気だったのだ。

 次々に空いていくお酒と、繰り出されるハナちゃんからの熱いエールに、頭がぼーっとしてきた。
いろいろな話を聞いたものの、トータル「なんて自由でまっすぐな40代なんだ」という感想だった。「こうすべき」と固定概念に縛られる様子が全くない。
結婚したら自由にできない? そんなんつまんないよ!
したいことすればいいしどんな形でも、いつだって素直でありさえすればいい! そんな気持ちのよいまっすぐさが貫かれていた。

 どうしてここまで達したんだろう…? そんな疑問が私の中でフツフツと湧いてきた。それと同時に、1つだけハナちゃんが中々語ろうとしない事柄を聞いてみた。「子どもを、つくろうとはしなかったの?」
 
 持ち前の明るさを全く損なわずに、ハナちゃんは即答した。

「「したした、出来る限りのことはした! んで無理だったから、もう今はとにかく楽しさを求める人生になってるんだよ!」

 次回、ハナちゃん最終回。
不妊治療を頑張りながら子どもはできず、子どもがいない人生を歩む決意をした話。そこから語られる、「女が歳を取るということ」。

 初めましての恋バナ図鑑、まだまだ続きます。街ゆくリアルな恋バナがここにある…!
 
  ≫この人しかいない恋をしよう≪

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 AM編集部がプロデュースした女の子のための恋愛応援アプリ。女性が男性をお気に入り登録(通称ポイ)することからコミュニケーションが始まる安心の女性主導設計。好みの男性をみつけたり、女性同士でオススメしあって盛り上がったり。恋愛中の感覚を擬似体験することができます。

Text/舘そらみ

次回は<「今が楽しければ、この先だって楽しいはず」“子を持たない”を受け入れた先輩女子の人生への誇り>です。
中目黒で出会って初めましてで7時間弱べろべろに酔っ払いながら恋と人生について語ってくれたハナちゃん。不妊治療を乗り越えて”子を持たない”を受け入れた彼女が語る、自分の人生を楽しく生きる心持ちとは。

ライタープロフィール

舘そらみ
脚本家・俳優。1984年神奈川県生まれ、トルコ・中米育ち。映画「私たちのハァハァ」の脚本を執筆。Twitter:@_sorami

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