あえて寂しさを楽しむ!
―クリスマスを意識しすぎてしまうというのは寂しさを感じすぎているからということもあると思うのですが、お二人が寂しさを感じる瞬間ってどんな時ですか?
犬山:私は、夜にコンビニで男女が仲良くしているところを見ると寂しくなります。これを買って、ふたりで家で食べるんだ…って。今私は安定したお付き合いを求めてるから、カップルから生活感を感じるとすんごい羨ましくなるんですよ。
逆に案外オシャレな店でディナーしてるカップルは見ても平気ですね。
まんきつ:私は…、ほんとに“寂しい”っていうのが、基本的になくて…。え~、ごめんなさいね、ほんとに。
犬山:謝ったよ、この人(笑)
まんきつ:むしろ、寂しい状態が好きというか。
例えば秋口とかに、急に冷え込んできて空が薄暗くなってきて、夕方、車が車道を走っている傍らを一人でとぼとぼ歩くと、寂しい気持ちになるじゃないですか。
その、寂しい気持ちになるのが大好きなんですよ!
だから、寂しくなりたくて、夕方ひとりぼっちで河原を散歩したり、 誰もいない土手とかでひとりでいるの。
プラネタリウムで働いていたときに、みんな良い人で終わった後「ごはん食べよう」ってなるんですけど、それには行かないで、土手にひとりで座って、川のせせらぎを聴きながらコンビニで買ってきた肉まんを食べるのが、ものすごく大好きでした(笑)
犬山:うっわー。マンキツさんをラテン系の国のパーティーに放り込んで1時間放置したら死んじゃうんじゃないか(笑)
―それはでも、最強ですよね。寂しさを楽しんじゃってますもんね。
まんきつ:うん。だからひとりでボートとかも乗っていたのかな(「井の頭池」)。その寂しさが妙に心地良いんですよ。
犬山:私にも、ちょっとノスタルジックなものがいいとか、寂しい感じが好きみたいな時期があったといえばあったんですけど…。私はやっぱりその寂しい行動をやっているってことを周りに言わないと気がすまなかったですね。
まんきつさんは、それをひとりでやって完結するじゃないですか。私は、「こんなことやってるのよ!」っていうのを絶対どこかでは言わずにはいられないっていうのがありますね。結局さみしさを心から楽しんでいるんじゃなくて、“こんなことやっている自分”に酔っている系でしたね。
だから、こういう本当に芯から孤独が好きな人を見ると理解できないんですよね。
―ほとんどの人が犬山さん側だと思います…。
犬山:ですよね。だからほんと普通なのが私で、まんきつさんが本物ですよね。本物の人たちがやっている話に憧れて、真似してる側です。でも本物の人たちがいないと、真似する側も真似するものなくなるし、そのまま突っ走ってほしいっす。
―まんきつさんから見たら、クリスマスの寂しい感じは楽しめばいいじゃんという感じでしょうか。
まんきつ:はい、やってみてください! ティッシュのAA。
犬山:やりません!
【完】
メリークリスマス☆
Text/AM編集部
犬山紙子
1981年生まれ。エッセイスト。2011年、美人なのになぜか恋愛がうまくいかない女たちの悲惨で笑えるエピソードを描いた イラストエッセイ『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。その後は「負け美女研究家」としてテレビ、雑誌、ラジオなどの各種メディアで活躍。現在『週間SPA!』『Gina』などでコラムを連載中。
ブログ:犬山紙子のイラストエッセイ 負け美女
ツイッター:@inuningen
まんしゅうきつこ
漫画家。友人である「東京都北区赤羽」の作者、清野とおる氏のすすめではじめたブログが一躍人気に。以来、雑誌、WEBメディアで活躍中。
ブログ:まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど
ツイッター:@kitsukom
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