アラフィフの夫にいきなり「もうセックスはしたくない」と言われて/『甘いお菓子は食べません』(前編)

アラフォー・アラフィフになるとセックスレスも深刻化!?

大泉りか 官能小説 Bitchin’ Amy

『アラフォー』などという言葉がすっかり定着してしまったせいで、まだかろうじて30代だというのに、完全に気分は40代の今日この頃。
しかも困ったことには、ハマると想像以上に気持ちいいのがこの“アラフォー”というカテゴリー。

『オバサン無双』とはとある女友達の弁ですが、“若い女”であろうとする抵抗を辞め、「そうよー、オバサンだから仕方ないの、あっはっはー!」と笑い飛ばした瞬間、今まで悩んでいた『なんでわたし愛されないんだろう問題』や『モテたいけど自意識が邪魔をする問題』『この服が着たいんだけどちょっとどうかな問題』などはすべて「オバサンだから仕方ない」「オバサンだから何したっていい」と開き直りで解決できてしまう。
アラフォーでこんなに楽なのだから、アラフィフになれば、さらに生きやすくなるのでは、と思うと、どんどん年をとってさらに“オバサン”として進化していきたいとさえも願ってしまいます。

 が、アラフォー・アラフィフという中年に至ったからこそ、また新しく生じる悩みもあります。親の介護や自分やパートナーの病気、子供や老後のお金の問題。
年を取ることで、神経の細やかさが麻痺してきたのは、ひょっとすると、アラサー時代よりも幾分か由々しさを増したそれらの悩みに対応して乗り越えていくためのサバイバル術なのかもしれません。

 そして、アラフォー・アラフィフになってこそ、さらに深刻化する悩みのひとつにセックスレスがあります。
賢さとしぶとさとを身につけたアラフォー・アラフィフ女は、セックスレスにどう立ち向かうのか――というわけで、今回紹介するのは第十回R18文学賞受賞作の『べしみ』を収録した『甘いお菓子は食べません』(田中兆子著)。この、40代、50代の女性たちを主人公とした連作集の中から『花車』をご紹介します。