鰻養殖場の営業マンが目撃した30代女と老人の情事/『むつごと秘宝館』(前編)

大泉りか 官能小説 小玉ニ三 むつごと秘宝館
Anna & Michal

2014年もいよいよ終わりに近づいてきましたが、実はこの年末に、現存する残り二つとなった秘宝館のうちのひとつ『鬼怒川秘宝殿』がいよいよ閉館することになり、その報を受け、一部の好事家たちの間では、クローズを惜しむ声があがっております。

 もちろんわたしも、日本からまたひとつ、エロをテーマとしたコンテンツが消えていくことには遺憾を感じえません。
が、しかし、一方で、秘宝館がサブカル試金石としての役割を担わされている点において、「秘宝館がなくなるの、チョー悲しい!」という本音を言うには、自意識が邪魔をする。
そんな本人以外はどうでもいい葛藤を抱えながら、このコラムを書くにあたり、実際問題、「どれくらいの人数の人々が秘宝館に興味があり、さらには訪れたことがあるのか」を考えると、またも迷路に入り込んだ思い……というのも、B級スポット好きの間では、秘宝館は定番のスポットとも言えますが、それにしたって、おそらくディズニーランドやUSJを訪れたことがある人よりはずいぶんと少ないはずで、その存在は知っていても、実際がどんなものかは知らない人も多くいるのではないか……というわけで、皆様が秘宝館に興味があるかないかはさて置き、この機会にまずは秘宝館とはいったいどんなものであるかをご説明したいと思います。

 ひとくちに秘宝館と申しましても、展示の内容で大きくわけると、ざっと二種に種別されます。
ひとつは春画や艶本、また、性をテーマとした骨董品やアート作品などを展示しているコレクター系秘宝館で、もうひとつが性の営みに耽るマネキン人形が展示されたエンターテイメント系秘宝館です。

 そして、現存する残り二つ、と言いましたが、実は伊香保の珍宝館など、個人経営のコレクター系秘宝館は、まだまだ各地でひっそりと営業中(ただし、これらのコレクター系秘宝館は、施設名に“秘宝館”という名称はつきません)。
一方で、エンターテイメント系秘宝館は、わたしの知る限り、熱海と鬼怒川を残すのみ。そして、そのうちのひとつが今年の年末に閉館してしまう……とういうわけで、今回は秘宝館にちなみ、小玉ニ三・著『むつごと秘宝館』(竹書房ロマンス文庫)をご紹介したいと思います。