恋愛経験ゼロの漫画家がドSの元教師と、大人のキスに夢中に…/『乙女のままじゃいられない!』(前編)

大泉りか 官能小説 石田累 乙女のままじゃいられない! martinak15

『あまちゃん』以降、朝の連続テレビ小説を観る習慣が身についたのですが、前期の『花子とアン』を夫と見ていた最中のことです。
『ヒロインが棚の高いところにある本を取ろうとする→後ろから手がすっと伸びて取ってくれる→取引先のイケメン(鈴木亮平)』
『嵐の日に窓を開ける→原稿が飛ぶ→拾おうとして取引先のイケメン(鈴木亮平)とぶつかる』

といったベタ展開に「うわー、またベタ」「ベタすぎる!」と文句を垂れながら見ていたところ、「どこがベタなのか、さっぱりわからない」と夫に疑問を投げかけられたのです。

 いや、「ベタでしょう、展開が予測できまくるパターンじゃん」と返しても「ふーん」とイマイチ理解出来ていない様子。
「だってまんま少女漫画だし」と思ったところではたと気が付きました。
そうなんです、少女漫画なのです。だから、少女漫画を読んで育ってこなかった男性にはその『ベタ』が理解出来ないのです。

 しかし、なぜ少女漫画にベタがあるかというと、それは女性読者をときめかせるため。
多くの女性は少女漫画を通して『ドキッ』『きゅんっ』『ぽっ』とする異性の行動を提示されてきたというのに、肝心の男性たちはキン肉マンを読んで育ってきているわけで、プロレスごっこは出来ても、お姫様抱っこなんて冗談くらいにしか考えていない。
むしろ『女を抱える』といって先に思い浮かべるのは駅弁スタイルなんじゃないでしょうかね。
そう、男性にはロマンチックが圧倒的に足りない!

というわけで、今回ご紹介するのは、少女漫画のベタがたっぷりと詰まったオトナの女性向けの恋愛小説。
石田累・著『乙女のままじゃいられない!』(アルファポリス)です。