江戸期に使われていた潤滑剤はどんなものか再現した
江戸期の潤滑剤の原材料を調べてみると、原材料は大まかに「海藻類」「鶏卵の白身」「葛粉」であることがわかった。これらの材料を組み合わせて潤滑液をつくり、それを紙に塗り付けて乾燥させ、挿入時に紙を口に含み唾液で溶かし、その液を陰部につける。
今回は渓斎英泉の《閨中紀聞/枕文庫》より「通和散の異方」を再現した。
材料は鶏卵の白身と、フノリと呼ばれる海藻。
フノリは水で戻し、鍋でとろみが出るまで煮詰めていく。
いやはや令和時代になり、自宅の台所でセックス用の潤滑剤をつくるなんて誰も想像しませんね。
煮詰めるにつれてフノリからぬめりがどんどん出てくる。
途中で吹きこぼれそうになりながらもフノリを煮詰めること数十分。
このくらいとろみが出てきたら、煮汁とフノリに分ける。
不要になったフノリは酢と醤油で食べたり、味噌汁に入れてください。
そして煮汁へ卵の白身を投入。
とぽん。
よくかき混ぜて保存料添加物未使用の潤滑液の完成。
この液体のままだとすぐに腐るうえに持ち運びができないので、紙に液体を5,6回ほど塗り重ねて乾燥させる。
紙が乾燥したら、元結紙(髪を結うための細長い紐状の紙)くらいに細く切り、通和散の完成である。
使用するときは必要な分だけ手でちぎり、口で舐め溶かす。
現代で販売している潤滑剤よりは遥かに滑りは少ないが、唾液で溶かすと食べ物由来の自然なとろみがある。ほんのり海藻の香りはするが、無味無臭に近い。
これが記事内で作った潤滑剤の出来あがり状態。卵の白身と海藻と水でこんなにトロトロになっちゃうんですよ。 https://t.co/ikKI03wTU8pic.twitter.com/km5r1ix4O3
— 春画ール?⛩??? (@tuyashun) February 27, 2020
※完成した潤滑剤の動画をアップして下さいました。とろとろしているのが伝わってきます(編集部)。
ちなみにこれらの潤滑剤を使用するのは女性たちだけでなく、男色の相手となる少年たちも該当する。男色は江戸当時、男性たちの嗜みとされ、潤滑剤は陰間茶屋でも販売されていた。むしろ様々な資料を見る限り、潤滑剤を使用することが多かったのは肛門性交を行う男色であったと感じる。
挿入時に潤滑剤を使用しない場合は、陰部に唾液をつけて滑りを良くした。
ふたりで春画を見て気分を高めたり、前戯の方法や女性が喜ぶ方法を学ぶために性典物を読むことも、交合を楽しむためには欠かせないアイテムだったであろう。
春画や性典物を見て思うことは、性の喜びや悩みは時代が変化しても、とてもよく似ているということだ。それもそうですよね。キスは口で行うし、性器は両脚の間についてるのですから。それに相手を愛する気持ちも変わらない。やっぱりセックスはお互いが気持ち良くないといけませんね。
Text/春画―ル
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