ちゅうするときの心得
口を吸う心得についても記述がある。
もしパートナーとちゅうするのが好きならば、これからする話をぜひ楽しみ、笑いとともにシェアしてもらいたい。
なぜなら、性と笑いは密接な関係にあるからだ。
どちらも幸福のためにあるべきものだ。そして、強いエネルギーを秘めている。
葛飾北斎《陰陽淫蕩の巻》には、女性から男性へ口を吸う心得が書かれているが、性別は特に関係ないものとして捉えていただきたい。性別をこえて参考にできるものだからだ。
では、本文を読んでみよう。
・男に身体を引き寄せられ口を吸われるとき、最初からじゅうぶんに舌を出してはいけない。
・舌を前歯でしごきながら出して半分吸わせる。
・それから男の舌を根元までぱくっと吸うべし。
・男は嬉しくなりたまらず女性の股へ手を入れようとするので、着物のうえからその手を抑え、恥ずかしがる風情にしてあしらうこと。
・男の指が足の間にはいったときは、身体を男性に預けて抱きつくこと。
・男性は嬉しくて術を尽くして愛撫してくる。
・そのとき目を糸のように細くして自分の舌を相手の口へさしこみ、充分に吸わせること。
このあとは男性器をやさしく触ってあげて挿入へと流れていく。
なし崩しにベッドになだれ込むような激しさも時には欲しいが、このようにしっとり落ち着いたはじまり方も楽しそう。
「一回のセックスにかける時間」をインターネットで調べてみると、平均して一時間に満たない。この一時間に私たちは手を尽くし、最良の時間をつくりあげる。パートナーとの共同作業なのだ。
だからこそ、普段から細かく相手に考えを伝え、コミュニケーションを積み重ねることがどれほど大切かわかる。
「最良のパートナー」は互いを満たし合うこと
ここまでは性の指南書としてセックスにフォーカスしてご紹介をしてきた。
世の中には様々な性に関するハウツーが出回っている。
しかし前提として、相手の体調や気分をうかがいつつ、「あなたのこと大切にしたいんだよ」の気持ちを大切に表現していきたい。
そして、性に「正しい答え」はない。その答えは同じパートナーでも日々異なる。
人生の質を高めていこうと思えば、まわりの環境や価値観も変化する。
「セックスを長年やりつづけられる関係」が「最良の関係」とも思わない。
互いに気持ちが満たされていることが「最良の関係」だとわたしは思う。
Text/春画―ル
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