0.01mm薄くするのに10年かかるコンドームの世界
――コンドーム作りは単純なようで時間がかかるって言ってましたけど、開発段階から製品になるまでってだいたいどれくらいかかるんですか?
Y:サガミオリジナルの場合だと、最初に企画があがったのが1964年で、サガミオリジナルが発売されたのが1998年だから、30年以上ですね。
――えー! 1964年ていったら白黒テレビの時代じゃないですか!!
Y:当時はベビーブーム真っ只中で、まず製品を次々作って市場に出すのが第一だったので、新素材の開発にあまり力を注げなかったんです。なので、実質的に本腰入れて開発にとりかかったのは1990年頃。初代のサガミオリジナルが発売されたのが1998年で、「002」が7年後の2005年。そのときにはもう0.01mmの開発を視野に入れていたんですけど、全国発売されたのは2014年ですから、結局「002」から「001」には10年近くかかってるってことになります。
――0.01mm薄くするのに10年! 気が遠くなる話ですね。
Y:薄さと強度を両立させるっていうのが大変なんですよ。人の人生を左右する商品だから、薄いだけじゃなく基準をしっかりパスするものじゃなきゃいけない。開発の者によると身を削るような作業だったそうです。
――じゃあ、「001」がヒットしたときは嬉しかったでしょうね。
Y:そうですね。コンドームの出荷量って2000年以降減少し続けてるんですけど、2013年と2014年に少しずつ上向いたんです。それって爆買いとかの影響もあるんでしょうが、うちが0.01mmを出したり、オカモトさんがゼロワンを出したりした時期とリンクしてる。コンドームという商材がこれほど話題になったのは、過去に例がないことだと思いますし、ちょっとした社会現象になったのかなと感じています。
※次回は相模ゴム工業さんが着用率向上のためにおこなっているPRや、商品開発について語っていただきます。
Text/遠藤遊佐