彼は汚い言葉を使って指を挿しこんできた/たとえ邪険にされても……『楽園の罠』(6)/AM官能小説

【あらすじ】
夫との南の島への旅行で彩夏は同じホテルに滞在する駿に出会う。ミステリアスな駿に惹かれた彩夏は、彼の部屋を訪れるが、両手を縛られ屈辱的なプレイを受けてしまう。駿に対する怒りを抑えきれない彩夏だったか、その夜夫に抱かれながら、駿のことを忘れられない自分に気が付く。彩夏は火照った身体で再び彼の部屋を訪れるが、彼はもう1人の女性の中に入っている最中だった。駿は、代わる代わる可愛がってやるからと、彩夏に仲間に入るように促した。

幻冬舎 楽園の罠 真野朋子 AM 小説

第6回 たとえ邪険にされても……

「こんなことって……信じられない」

 すぐに脱げるような格好でやって来たので、彩夏はものの10秒で裸になってしまった。そしてテレサの横に並ぶようにして、ゆっくりと腰を差し出した。
「ふん、なかなか見事な光景だな」

 駿の目の前で、四つん這いになった女のヒップがふたつ並んでいるのだ。こんな形で彼を受け入れるのは抵抗があるが、彩夏はもう流れに逆らえない状況にあった。とにかく一刻でも早く彼が欲しいのだ。そのためなら多少恥ずかしい格好でも受け入れる覚悟はできていた。

 駿と合体していたテレサが一際かん高い声でいなないた後、駿はいよいよ彩夏の真後ろにやってきた。
「彼女、さっきからもう何度もイッてるんだ」
「じゃ、私も……」

 彩夏は駿を振り返り流し目で見つめた。

 ヒップの割れ目に生あたたかいモノが触れた。固い先端は湿り気を帯びているようだった。ようやくその瞬間がやって来たと思うと、全身が震え出しそうになっていた。
「君には旦那がいるだろう。ゆうべはどうした? 旦那とやったんだろ?」

 駿はからかうような口調で言いながら、逸物の先端を彩夏のヒップに軽く触れさせていた。
「う、ううう……」
「どうなんだ? ちゃんと答えろよ。ゆうべ旦那に抱かれただろ」
「ええ、そうよ」
「俺とさんざん楽しんだくせに、お前はまだ満足できなかったんだな。本当にいやらしい女だ。旦那に抱かれてヒイヒイ喜んだんだろう」

 駿の言葉遣いが急に荒く下品になってきた。今まで聞いたことがないような強い口調だ。そして彩夏のヒップをぴしゃりと乾いた音が響くほど強く叩いたのだ。
「痛いっ……」

 驚いて思わず体を引きそうになる彩夏の腰を彼はぐっと引き寄せて固定した。そしてまた後ろ手にし、バスローブのヒモで手首を縛り始めた。
「あ、いや……それはもうやめて」
「ここでは俺の言う通りにするしかないんだよ」

 テレサは縛られていないのに、なぜ自分だけ……と訴えかける表情で彼を見上げた。
「彼女は気の毒な人妻だからな。お前は旦那にも可愛がられてるんだろ。やってもらえるだけマシなんだよ。ここに、突っ込まれたんだろ。こうして」

 駿は汚い言葉で蔑みながら、女唇に指をまとめて挿しこんできた。
「いやよ。やめて、そんなこと……」

 杭を打ちこまれる代わりに挿された数本の指は、内部を掻き回すように暴れ回った。快感は得られず彩夏は後ろ手に縛られ、顔をベッドに押しつけたままで抵抗した。
「や、やめて……」
「何だ、尻なんか振って。そんなにうれしいのかよ」
「指は、いやなの……」

 駿が彩夏を虐めている間、テレサは彼の足元にうずくまるようにして絡んでいた。大きな乳房を彼の脚に押しつけながら、両手で尻や股間をまさぐっている。潤んだ目で屹立した突起を見上げ、今にもむしゃぶりつきそうだ。
「お前のここは、旦那のものだろう。お前の旦那の粗末なモノを突っ込んでもらっていればいいんだよ」

 あまりな侮辱のされように、彩夏は泣き出しそうになっていた。裸で尻を突き出し、両手は縛られ局部を弄ばれているのだ。しかしそれも次に繋がる行為の前段階としてこらえるしかないのだ。
「オー・マイ・ガッ」

 突然テレサは叫んで起き上がり、脱ぎ散らかしていた服を拾い始めた。
「タイム……?」

 駿が問うと、頷いたテレサは慌てた様子で衣服を身に着けあっという間に出て行ってしまった。
「旦那にバレたら半殺しの目に遭うかもな。お前みたいに気楽じゃないんだよ」

 私だって、夫を騙してやっとの思いで来ているのに。しかし彩夏は言葉には出さなかった。何か言っても必ず言い返されるからだ。
「3人で楽しくやろうと思ったのに。でもまあ、お前にとってはラッキーだよな。こいつを独占できるんだから」

 駿は彩夏にベッドから離れるように言い、自分の足下にひざまずかせた。肉の棒はピンと屹立したまま天井を向いていた。
「そら、しっかり咥えろよ」

 後ろ手で縛られたまま、顔に股間を押し当てられた。少し前までテレサがしゃぶりつき、彼女の中で暴れ回っていたモノだ。彩夏は思わず顔をそむけてしまったが、駿に髪を掴まれ無理やり肉柱を押しつけられた。
「お前はこれが欲しいんだろう」

 駿は彩夏にだけぞんざいな態度を取るのか、それとも彩夏がそれを望んでいると勘違いしているのかひどく乱暴だった。

 縛られた格好のまま、彩夏は床にひざまずくように彼の股間に顔を埋めていた。彼が気ままに強弱のリズムをつけるのだが、彩夏は頭を押さえつけられているのでただ口に咥えているだけだ。
「ほら、もっとしっかりやれよ」

 これ以上深く飲みこんだら窒息してしまう、という限界まで達していた。

 駿は快感とはほど遠いような冷たい視線で見下ろしていたが、いきなり彩夏の頭を両手で挟むと、まるで玩具でも扱うように激しく揺さぶり始めた。彼は自分の腰は動かさず彩夏の頭を振ることで刺激を与えていたのだ。
「うっ、うぐぐぐ……」

 呻き声しか発することができない彩夏の顔は真っ赤に上気していた。

 すると唐突に彼の動きが止まった。彼は果てたのだ。

 手が緩んだ隙に彩夏はパッと彼から離れて立ち上がり、縛られたままキッチンまで走って行った。
「そんなに慌てなくたっていいのに」

 彩夏はシンクに向かって吐いていた。彼が排出した粘液を口から出していたのだが、胃からこみ上げるものを抑えきれなかった。
「……ほどいて」
「ああ、ご苦労さま」

 彩夏は両手が自由になるとすぐさま近くにあったグラスを手に取り、勢いよく水を出して口をゆすぐのだった。何回も何回も繰り返して。  

【つづく】

Text/真野朋子
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