仕事より優先順位が高いこと

では、男性にとって仕事よりも優先順位が高い物事とは何なのでしょうか? 小一時間ほど考えた結果、それは「セックステクニック」であるという結論に達しました。男性は、我々婦女子が思っている以上に、己のセックステクニックを気にする生き物です。我々としては、「テクニックなんぞなくても、愛を感じられるセックスであればノープロブレム!」なのですが、男性側としては、そういうわけにはいかないようでございます。現に、カノジョと別れた際に、「俺のセックスに満足できなかったのかも……」と、思い悩む男性は意外と多いです。

「己のセックステクニックが、女性からどのように評価されているか?」が、男性にとっての最優先事項と仮定しましょう。先に述べた、「自分にとって優先順位の高い物事に対しては、現状これといった問題があるわけでもないのに、不安を作り出すのが人という生き物」に則ると、彼らはそこに不安を作り出します。「俺のパイ揉み技術では快感が得られないのでは?」「俺の手マン技術では快感が得られないのでは?」「俺のピストン運動では快感が得られないのでは?」……挙げていくとキリがないくらいです。

不安状態が続くと、人間は疲労困憊します。疲労困憊するのは男女共通ですが、婦女子の場合は「○○君の気持ちがわからなくて不安なの」「○○君はモテるから不安なの」と相手に不安をぶつけたり、女子会と呼ばれる集まりで吐き出すことが可能。しかし男性の場合、そうはいきません。「俺のパイ揉みで快感が得られているか不安だぜ」「俺の手マンで快感が得られているか不安だぜ」「俺のピストン運動で快感が得られているか不安だぜ」とは、口が裂けても言えないのです。

では、不安を抱えたままセックスするのでしょうか? それはそれでしんどいですよね。だからこそ、「不安な気持ちに陥りそうだから、セックスはやめとくか」という結論に達し、セックスの手前にある「恋愛」を避けるようになるのでしょう。もしくは、セックステクニックを不安視せずとも済むような、一夜限りのワンナイトラブを繰り返すのでしょう。

逆から言うと、男性はセックステクニックの不安がなければ、恋愛にもちゃんと向き合うし、一夜限りで終わらせるようなことはしないはず。以上を踏まえ、男性のセックステクニックは褒め過ぎなくらい褒めるべし、と思った次第です。

Text/菊池美佳子

初出:2017.02.27