狭い箱の中で恋愛する私たち

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 理想の恋人像を追いかける行為は落とし穴である。
理想のタイプを持つこと自体に問題があるわけではないが、それをまったく疑わないのも少しナイーブである。
好みやタイプはオーガニックな個性だと思いたいが、残念ながらそうではない。個人の選択は社会に存在する既成概念に常に影響されている。
おとぎ話やラブコメに登場するキャラクターや身の回りにいるカップルたちを見ていれば、自然とその使い古されたテンプレートを自分自身に当てはめてしまう。多くの場合、そうやって影響されていることにも気付かないから尚更厄介だ。

 可憐なお姫様が勇敢な王子様に救われて、めでたしめでたし。この超王道な物語は今でも世の中に溢れている上に、それを鵜呑みにしている人は少なくない。
フィクションの影響力を侮ってはならない。ところが、お姫様や王子様に100%当てはまる人なんて希少なわけで、そんな架空なキャラクターたちを追いかければ追いかけるほど虚しくなるはずだ。
もしも奇跡的にお姫様や王子様に限りなく近い相手を見つけたとしても、些細なギャップが気になって肝心の恋愛に集中できないかもしれない。そうやって先入観に縛られたままの恋愛は、狭い箱の中でする窮屈な恋愛である。