「それでも、人間のタイプは生まれ持ったものだから変えることはできない」

 そう力説する人とたくさん出会うが、本当にそうなのだろうか。
女の子はおしとやかに、男の子はわんぱくに。そんな文化の中で育てられれば、他人や自分に対して社会的な役割を求めてしまう。
背が高い男性と目が大きい女性がモテるという価値観に囲まれていれば、自分の好みも影響を受けるだろう。
マルチカルチャーなトロントでは人種問題がそのまま恋人選びに反映されている。理想の恋人像には生まれ持った部分もあるかもしれないが、生まれ育った環境によって構成される部分も少なくないはずだ。
だから、その理想とどう向き合うかが重要になってくる。

 まっしぐらに理想の恋人像を追いかけたいなら、ちょっと半信半疑になってみるのも悪くはない。
恋愛は頭の中でするものではなくて、実際に目の前の人間とするもの。人間同士でする恋愛だから全て丸く収まることはない。常にちょっと散らかっていたり、醜かったりするものだ。
柔軟さを持ち合わせていなければ、自分の思い通りに行かない恋愛は苦痛だらけになってしまう。それではちっとも面白くない。
人間が最も輝く瞬間は自分らしさを全て発揮できるときである。自由な伸び伸びした恋愛は自分らしくいられる恋愛でもある。たまには、理想という箱から飛び出して、未知の領域を冒険してみよう。

Text/キャシー

次回は <長続きしない恋愛でもいいじゃない>です。
LGBTサイト「2CHOPO」から、トロントに住むキャシーさんの記事をご紹介!恋人との未来が想像つかない…。将来どうなるかわからない恋人との関係に意味はあるのか…。そんな不安を抱えている方も多いのでは?「長続きするカップル」である必要があるのか、キャシーさんの記事を読んで新しい視点が生まれるかもしれません。