恋愛の中の不平等に敏感になる大切さ

「ずっと同じくらいの収入だったのに、彼女の方が出世して二倍以上も稼ぐようになって二人の関係がぎくしゃくした」

 クレープが美味しい喫茶店でレズビアンの友達と恋愛話をしていると、彼女は最近終わりを迎えた恋を赤裸々に語ってくれた。
収入のギャップなんて他人事ではなかった。
まったり仕事探しをしている今の自分にとって、彼氏との収入の差は二倍どころではない。
溶けそうになっているアイスクリームをフォークで半分に割って、クレープで巻いて食べる友達を見ながら、自分のお皿にはアイスクリームがないことに気付いた。

 収入以外にも、恋愛の中に不平等を生み出すものはたくさんある。
15歳も年齢差がある知り合いのゲイカップルは、常に周りに視線に悩まされるという。
25歳で、白人で、モテるタイプなら、出掛けるだけでちやほやされる。
一方で、40歳で、アジア人で、どちらかといえば地味な彼氏は、ちやほやされるどころか透明人間にされてしまう。 25歳のイケメンの隣に立っていれば尚更だ。
一緒にパーティに行けば、周りからカップルであることを驚かれることも多い。

 そんな環境の中で自尊心を保つのは簡単ではない。
お互いに愛し合っているとわかっていても、そこにある不平等が理由で喧嘩することも珍しくないと彼は打ち明けてくれた。
「君がモテないのは僕のせいじゃない」
喧嘩の最中、この言葉が飛び出して火に油を注ぐことになったらしい。
確かに、若くて見た目が良くて白人である彼氏には何の責任もないのかもしれない。
彼が何かをしたところで、隣にいる老けていて地味なアジア人が急にちやほやされることはない。

 人間は生れたときから平等ではない。
それでもデコボコした複雑な社会の中で様々な場所に立って、必死に生きている。
そんな不平等な社会の中で恋愛をすれば、恋人との間に格差も生まれる。
それは二人だけの力ではどうにもならない。
社会が変わらない限り、二人の立場が同じになることはない。