キャシー
知り合ったばかりのセフレくんとまったりしていると、あっという間に夕食の時間になった。
セックスをする間柄だけど友情もなくはない微妙な人間関係は独特だ。
だから、初めてお互いが食べる瞬間を目撃するのも結構大事だったりする。
さっきまでいろんなものがお互いの口に入ってたのに、その同じ口がこれから消化器として機能する。
今から一緒にご飯を食べるのかと思うとセックスよりずっと緊張する。
乳首に生えた白いパイ毛から経験豊富なケツの穴まで見られた後なのに不思議だ。
ピザを頼むことになって、使い込んだマックブックでトッピングを選びながら、セフレくんはボソッとカミングアウトした。
「僕、ビーガンなんだけど……どうする?」
ビーガンとは純菜食主義者のことだ。
ベジタリアンの友達なら周りにいっぱいいるが、ビーガンはなかなか珍しい。
ベジタリアンはチーズやアイスクリームといった乳製品や卵を食べる人もいるが、ビーガンとなれば動物由来のものは一切口にしない。
話を聞けば彼はかなり本格的なビーガンで、食べ物だけではなく、他のことでも常にビーガンを心がけている。
革靴とウールセーターを着ていた自分はその場でアウトだ。
白砂糖などの一見動物由来じゃないものも製造工程で動物製品が使われていることがあって、本格派ビーガンはブラウンシュガーを使ったりする。
何より驚いたのが、多くのコンドームも動物製品でプロセスされていて、彼はわざわざオーガニックストアでビーガンのコンドームを買っているという。
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