「これが好き!」が自分の武器に
AM: そんな風に考えられるのがすごいですね、中学生なのに。
アル: 当時はネットも携帯も無かったから、考える時間がいっぱいあったんですよ。
それで将来をイメージした時に「自分は何が好きなのか?」と考えたら、本や漫画を読むことだった。でも絵はあんまり上手くなかったから、自分は文章でいこうと。それからコントの台本とか書き始めて、文化祭とかでやったら「面白い」と評価してもらえて。
あと雑誌やラジオに投稿したら、たまに採用してもらえて、少しずつ自信がついてきました。
だから「他人がどうだろうが、私はこれが好き!」と言えるモノがあるのは大きいと思う。結果的にそれが今の仕事にも繋がっているし。
私はゲームの原作の仕事もしているんだけど、十代の自分に「憧れの声優さんがキミの書いた台本を読んでくれるよ、だから貧乏でブスでもくじけけるな」と言ってやりたいです(笑)。
早く大人になった方が、あとが楽
アル: その後、高等部に進んで「こんな狭い世界にいたら自分はダメになる」と思ったんです。それに親との関係が最悪だったから、どうしても実家を出たかった。
それで勉強して国立大学に受かって、バイトしながら自活を始めたんです。当時はベンチャー企業で歩合制の営業をしていたんだけど、月30万くらいは稼げたんですよ。
AM: 学生バイトで月30万はすごいですね!
アル: ドブ板営業でスゲー大変だったけど、知らない世界が広がるのは楽しかった。
好きな服を買って旅行にも行けるようになって、コンプレックスもかなり軽減されました。
あと就職氷河期だったけど、営業の実績があったお陰で、内定もとれたんです。
同級生は「社会に出たくない、何をしたいか分からない」とフリーターになる子も多い一方、私は「稼げる大人になる!」って目標があったから、給料のいい広告会社に決めたんです。
周りから「あっさり内定がとれて羨ましい」とか言われて「キミたちが気楽にサークル活動している間、こっちは汗水たらして働いていたんだぞ」と思ったけど(笑)。
でも他人と比べて優越感を味わうより、「ここまで辿りついた」って達成感の方がずっと大きかった。達成感を得ることで、コンプレックスは克服できると思います。
…以上、オッサンの苦労話みたいでウザいよね(笑)すみません。
AM: いえ、「若いのに偉いなあ」とひたすら感心してしまいました。
アル: 私の場合、環境要因が大きかったですけど。
でも「早く大人になった方が、あとが楽だよ」とは思います。それに昔から、少女漫画よりもスポ根やバトル漫画が好きで。「困難を乗り越えて、己に勝つ!」系に萌えるんでしょうな。