「女の敵は女」と思ってる自分が敵だ!

今月の特集「女の敵は女」へのコラムを依頼していただいたとき、すぐに思い浮かんだのが、山岸凉子さんの短編『メディア』(『押し入れ』(講談社) 所収、現在は絶版のようです)。 今はなき『amie』という少女マンガ雑誌に掲載されていたのを読んだのは高校1年生のころですが、今読み返しても、現代の女性問題に通じるテーマが示されています。


 AMライターのみなさんに今月の特集「女の敵は女」について、コラムを書いていただきました。
第4回は、連載「密かに磨く、エロしぐさ」の鈴木みのりさん。
女は敵ばかり!と思っている、あなたは、ぜひ鈴木さん流の女を敵視しない方法を読んでみてください。

依存関係を描く、山岸凉子の傑作マンガ『メディア』
男と幸せになりたい女は別の女を敵視してしまうのか?

鈴木みのり エロしぐさ
Astraete


 今月の特集「女の敵は女」へのコラムを依頼していただいたとき、すぐに思い浮かんだのが、山岸凉子さんの短編『メディア』(『押し入れ』(講談社) 所収、現在は絶版のようです)。
今はなき『amie』という少女マンガ雑誌に掲載されていたのを読んだのは高校1年生のころですが、今読み返しても、現代の女性問題に通じるテーマが示されています。

『メディア』の主人公・有村ひとみは短大生で、背が高くボーイッシュなため男の子にまちがわれるのが悩み。
実家暮らしのひとみに母親はべったり依存していて、誕生日にデートしてくれる娘を誇らしく思い、毎日無農薬の野菜を使ってバランスを考えたお弁当を作って持たせ、浮気している夫や姑の愚痴を言っては「スペシャリストになるのよ」と自分の果たせなかった夢を託す。
ひとみは、学校での女性学の講義を通してそんな母親に違和感を持ちはじめ、自立するために得意の英語を使ってアメリカへの留学を考えはじめる……。

 原宿カウンセリングセンターの所長として、『愛情という名の支配』、『ザ・ママの研究』といった著作で家族の形を臨床心理士の視点で研究してきた信田さよ子さんや、タレントやエッセイストとして活躍される小島慶子さんが過干渉から生まれた母との確執を告白されたことで、近ごろ母親との決別による自立と自信獲得についての話題をよく耳にします。この『メディア』はその走りとも言えそう。

 タイトルの引用はエウリピデスによるギリシャ神話から。
尽くした男・イアーソンが若い女に心変わりしたので、復讐のため王女メディアはふたりのあいだの子どもを殺害する、というお話。
作中では、この神話を聞いて「あたしなら心変わりした男のほうを殺すなあ」と言うひとみに対して、友人の石田は、男女女の三角関係においては損得勘定が働いて男ではなく相手の女を殺すことの方が多い、という指摘をします。
「男と幸せになりたいのにその男のほうを殺したら元も子もないからさ」と。