「風俗で働く女性は可哀想」なんて言うけれど、わたし可哀想ですか?

以前、女性に、ご自身の性癖について語ってもらうインタビュー連載をしていたことがあります。SNSで取材対象者を募って電話やチャットで話を聞き、それを構成して記事にしていたのですが、取材を重ねていくうちに、ある発見をしました。それは「性癖を満たすために、性風俗で働いた経験がある」という女性が、少なからず存在することです。

もちろん、「性癖について語りたい/語ってもいい」という女性に話を聞くことは彼女らが「己の性癖を自覚している」ことが前提であって、しかもその性癖はわりと特殊だったり、こだわりの強さや、叶えたいという熱意が強い傾向にある。だから、いくら取材した女性の幾人かが、「性癖を叶えたくて、性風俗で働いた」と言ったところで、決して性風俗で働く女性のマジョリティではないと思います。けれども、確かに存在はしている。それを知れたことで、なんだかわたしは安心したのです。「わたしだけじゃなかった」と。

SM風俗に不安はあったけど

さて、前回に引き続き、わたしが某SM店で働くことになった経緯です。酔った勢いで「とりあえず、働いてみればいいんじゃね?」と思ったのは、その世界を覗いてみたかったからもあったけれど、SMそのものに興味があったこともありました。SMがしたいのであれば、プライベートで相手を探せばいいともいえるけれど、安心して身を任せられるパートナーを見つけるのはそこそこ難しいし、何よりいろんな人とプレイをしてみたいという気持ちもあった。

もっとも、SM風俗で働くにあたって、お客さんに会ってから「この人、嫌だなぁ」なんて思っても、断れないのはちょっと不安でした。でも、プレイをすればお金になるというメリットで帳消しにできるというか、取材した女性たちの口からも「趣味と実益」という言葉が度々出てきましたが、まさにその通りで、お金なんていくらあっても困ることはないし、実家を追い出され、都内のマンションで弟と二人暮らしをしていた頃で、生活もあまり豊かではなかったので、お小遣い稼ぎになるという算段もあった。