メニューに困ったときの夫の返答

しかし、時によっては「今夜、何を作ればいいのかさっぱりわからない」と、行き詰まることもあります。仕方なく、いま一緒に住んでいる夫にも「何が食べたい?」とたまに尋ねるのですが、そうすると夫から返ってくるのは「納豆ある?」という在庫確認なのです。

なぜメニューを尋ねているのに、納豆なのか。どうやら夫は最低限、米に納豆があれば、その日の食事はまかなえると考えているらしい。楽ちんでいいけれども、もう少し食卓を充実させたっていいよね……というと「じゃあ、何があるの?」と尋ね返してくるのです。
「え~、鶏もも肉と~豚ばら肉と~カブと~玉ねぎと~卵と~」というふうに冷蔵庫にある材料を羅列すると、「じゃあ、それで作れるもので、何ができる?」となるので、「え~、生姜焼きか~唐揚げか~カブと豚肉のオイスター炒めとか?」とだんだんとメニューが狭まってくる。これ、作り手側に過剰な負担に掛けることなく、メニューを決める負担はシェアしてくれる、いい方法だなって思っています。

そして、冷蔵庫在庫で作れるものでは気が乗らないときは「うーん、一緒にスーパーに行かない?」と共に出掛けることになる。「別の食材、買ってきて」と言われると「パシリじゃねーんだよ」となるけれど、一緒にスーパーの陳列棚を見て回るのは、それはそれで楽しい。毎日のことだからこそ、パートナーとの間に無理のない、食事のメニュー決めのコミュニケーション方法を確立させることができて、ぐっと毎日が楽になりました。

Text/大泉りか
初出:2021.02.13