一戸建ては失敗寄りの間違いだったが…

しかし、経済的な問題などがあるわけでもなく、相手のことが嫌いでもなく、ただ他人の同じ空間に長時間いることが苦手、というタイプもおり、私がまさにそのタイプである。

こういうタイプはそもそも「結婚に向いていない」のだが、不幸にも結婚をしてしまう場合がある。

ちなみに不幸なのは、もちろん結婚に向いてない人間と結婚してしまった相手の方だ。

ただ、そういう夫婦でもやり方次第では、険悪なムードになることなく結婚生活を続けることも出来なくはない。

私たちは現在、二階建ての一戸建てに夫婦二人で住んでいる。

子どもがいたり、作る予定ならまだしも、そんな予定もないのに何故一戸建てを、と問われたら「付き合いで住宅展示場に行ったらいつの間にか建てることになっていた」と言うしかない。

「押しに弱い夫婦は絶対不動産を見に行くな」というのは「歯は大事にしろ」と並んで私が皆に伝えられる、数少ない有益な教訓だと思っている。

この選択は、どちらかというと失敗よりの間違いだったような気がする。

そもそもこんな不透明な世の中で、数十年元気で仕事があることを前提にローンを組むこと自体どうかしている気がするし、二人なら尚更賃貸で身軽に生きた方が良かった気がする。

そう思っていたこともあるが、最近では、結婚に向いていない私が10年結婚を続けられたのは、無駄に二人暮らしで一戸建てを建てたおかげのような気がしている。

そう思わないと狂う、というのもあるが、一戸建てを建てたことにより、二人で家にいても常に「1人になれる」のである。

さらに、私に自室を与え、そこを治外法権のスラム街にすることにより、夫は他の部屋をあまり汚されないため、イライラしなくて済むというメリットもあるし、当然相手の個人的な不機嫌や憂鬱に巻き込まれることもない。

もしこれが二人だし節約にもなるからと、ワンルームで暮らしていたら、半年で離婚していたかもしれないし、おそらくこのコロナ自粛にも耐えられず「コロナ(という設定で)離婚」していたかもしれない。

よって、もしこれから結婚やパートナーと暮らすという人がいたら、例え今回のような外出自粛で、二人が一日中家にいてもイライラしなくて済むような住まいを選ぶことをお勧めする。

もちろん、狭い部屋にどれだけ一緒にいてもイライラしないという人はワンルームでも構わない。

そういう意味ではやはり私たち夫婦は、一戸建てがベストだったのだ、数十年ローンも夫婦が苛立たずに過ごすための必要経費である。

そう思わなければ狂う。

Text/カレー沢薫

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