やりたくない演出はスルーできる

やると決まったはいいものの、私は結婚式と披露宴における「定番の演出」というものに、やりたくないものが多すぎました。あれも嫌、これもキモいと言う私に、夫は「やりたくないことをわざわざやる必要はない。それに変わる何か他のことをしよう」と言ってくれました。

以下、私がやりたくなかったことと対策です。

まず、キリスト教式。
毒親育ちである私は父親とバージンロードを歩きたくなかったし、母にベールダウンもされたくありませんでした。しかも男親から新郎に、まるで物品のように新婦を渡すのもかなりめちゃくちゃ気に入らないし、人前でキッスするのは普通に恥ずかしい……!

キリスト教を普段から信仰しているわけでもなく、チャペルに憧れもなかったので、さくっと神社での神前式を手配しました。毒親育ち、あるいは親嫌いの皆さまにおかれましては、神前式かなりオススメです。式がはじまるまでは親族と同じ控え室に入れられるけど、そこさえ我慢すればあとは常に夫とだけセットで扱われるし、ベールダウンみたいな親とのセレモニーもありません(担当さんに教えていただいたのですが、キリスト教式でもベールを”マリアベール”にすればベールダウンを回避できるそうです! 本当は毒親対策を優先して式のスタイルやベールの種類を選ばずに済むのが一番いいんですけどね……)。

和装婚版のベールダウンみたいな「紅差しの儀」(花嫁の支度の最後に母親が口紅を塗る)というものがあるらしく、私も提案されましたが、紅筆を持って近づいてくる母の手を想像するだけで、その手を思いっきり叩き落としてしまいそうだったので断りました。
本来は「魔よけ」の意味があるらしいのですがうちの母にやらせたら「魔寄せ」になるわい。ていうか母本人が魔。

披露宴でやりたくなかったことの断トツ1位は何をおいてもファーストバイトです。
口を開けてケーキを突っ込まれる様は滑稽だし、顔はケーキで汚れるし、もう平成も終わるというのに司会が「新婦から新郎へは“美味しいご飯いっぱい作るね”、新郎から新婦へは“食べるのに困る生活はさせないよ”という意味が込められております」とか旧式のジェンダーロールが炸裂した台詞で賑やかしたりするし、想像するだけでどんよりした気持ちになります。
これに関しては夫と意見が一致したので、鏡開きを行うことになりました。神前式からの披露宴なので途中まで和装だったし、夫の友人には酒飲みが多いのでちょうど良かったです。

もちろん花嫁の手紙も読みませんでした。
これに関しては、母本人が「あんなお涙ちょうだいみたいなの嫌い。ママも手紙なんか読まなかった」と豪語していたのでこれ幸いと、無難に花束を渡すだけにしました。花束の渡し方も、実親にひとりで手渡すのではなく夫とふたりで義実家・うちの実家と順番に渡す方法を提案してもらい、それを採用しました。私の親嫌いをなんとなく察知してくださったプランナーさんに感謝です。

結婚式も披露宴も、めんどくさいことは多いしやりたくないことやらされるし、と思っている人には、やりたくないことは全部スルーしても、ちゃんと結婚式と披露宴の形になるよ!とお伝えしたいです。

「結婚式やるよ~」と結婚式経験者の友達に言うと必ず言われたのが「絶対1回はめちゃくちゃ旦那と喧嘩するから覚悟しておくように」。たしかに結婚式・披露宴をするとなると会場探しから細々したペーパーアイテム選びから、遠方から来るゲストの宿泊手配やら、とにかく決めることが多いので衝突も喧嘩も避けられまい、と覚悟しました。

結論から言うと、めちゃくちゃ喧嘩、しませんでした。

結婚式準備での夫婦間の揉め事としてよく聞くのが「夫が自主的に準備をやってくれない」というものですが、うちの場合は私が「事務手続き的なことが苦手すぎる」ということを予め夫とシェアしていたので、宿泊手配や打ち合わせ時の議事録作成、スケジュールの進行管理などは夫が担ってくれました。

一方で私は会場探しに始まり、夫には「全部同じものに見える……」というペーパーアイテムの選定や衣装選び、披露宴の演出と全体の流れを決め、BGMを選出するなど主に「センス面」を担当しました。
お互いの得意と苦手を把握して役割分担が出来ていれば、派手に衝突することは避けられるようです。