「二人とも家にいる」という状況をどうするか
そうは言っても、私も家でずっと夫と一緒にいたら確実にイライラしてしまうタイプである。
幸い我が県は、全国に緊急事態宣言が出されるようになっても、最後の1県を鳥取と競り合うような場所なので、夫はまだ通常に出勤している。 ちなみに何故鳥取かというと、映画刀剣乱舞を上映していない県を最後まで取りあったライバル県だからだ。
だが夫が自宅勤務となり、自宅勤務という名の無職である私と四六時中家にいるようになったら、事件とまでいかなくても、ケンカが起こる可能性はある。 また定年退職などで、最終的に二人とも家にいるようになる時はいつかくるだろう。 老後、二人で家にいるのが苦痛で熟年離婚をしたり、武闘派のジジイ、もしくはババアにより事件に発展してしまうケースもなくはない。
「二人とも家にいる」という状況をどうイライラせずに過ごせるようにするかは、考えておいた方が良いかも知れない。
ここで「二人で楽しく過ごせる方法を考えよう」とするのは悪手である。 考えたところで、それに乗ってこない、協力しようとしない相手にイライラするに決まっている。
それよりは、家の中にお互い不可侵なパーソナルスペースを作っておいたほうが良い。 そうすれば、家にずっといなければいけなくなっても、お互いその場所に入れば、いないが如く過ごすことができる。
1部屋と便所しかない家だと、まず便所をどっちがとるかでケンカになるし、間取り的に、個々に部屋を持つのは無理、という場合もあるだろう。
しかし場所はなくてもお互いが「1人で時間を潰せる方法」をちゃんと持っていれば、同じ空間にいても、お互いのことを気にせず済む。
定年後、妻しか話し相手のいない夫が、他にやることがある妻にべったりとなり、妻が多大なストレスを受けるということがあるようだ。
つまり、結婚していても「自立」が大事ということである。 経済的自立、自分のことは自分でやる生活的自立もだが、精神的にもパートナーがなしでは立っていられないようではダメである。
他のことをしている相手の袖を「暇なんだけど」と引っ張っているようでは、いつか平手打ちが飛んでくるかもしれない。
パートナーが何かに熱中しているなら、邪魔をせず、その後ろで静かにロボットダンスの練習をして時間を過ごす、それができれば、二人とも家にいるようになっても、事件は起こらないはずだ。
Text/カレー沢薫
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