高望みと妥協しないは違う
しかし「高望み」と「妥協しない」は全く別なのだ。
「求める条件はクリアしているし良い人だけど、年収はもう1000万乗せたいし、顔をキアヌに寄せてほしい」というは高望みだ。だが「現時点で許せない部分が48個あるけど目をつぶろう」というのは妥協である。
結婚する前に「我慢」が生じている場合は、結婚後さらに我慢できなくなる可能性が高い。
「顔が良ければ生物上ゴリラでも構わない」というような、確固たる癖(へき)と意志がない場合は、我慢ありきの結婚はしない方が良い。
また「結婚させていただく」のような、自尊心を捨てなければ出来ないようなことは、結婚に限らずしない方が良い。
結婚するために相手にへりくだると、結婚後もそれを求められる可能性が高いし、自尊心が下がっていると「こういう扱いを受けても仕方ないのだ」と思うようになってしまう。
結婚するしないに係らず、自尊心は大事なものである。 これと引き換えにしてまでしなければことなど「命乞い」ぐらいしかないのではないか。
よって婚活をするときは「始めたからには結婚するまでやめられない」と、意地になるのはやめた方がよいのではないだろうか。 それは、ソシャゲのガチャで「当たりが出るまでやめられない」となっているのに近い。
もちろん推しという名の理想の相手が現れるまで諦めない、という志の高さで続けるのは構わない。
だが「実はそんなに欲しいキャラ(結婚)ではないが後に引けない」みたいな状態になるのは、またしても目的を見失っている。
食費や家賃などの他のものが犠牲になりそうだったら「そこまですることではない」と判断して「引く」ことも大事である。
そもそもソシャゲというのは「このキャラがいないとゲームクリア不可能」などということは滅多にないのだ。
「結婚」はマストアイテムではない、ということを忘れないのが、婚活に必要なことではないか。
Text/カレー沢薫
初出:2019.08.26
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