テレビは会話がもつが○○の話は封印「夫婦とテレビの付き合い方」

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今回のテーマは「夫婦とテレビの付き合い方」である。

私はテレビを筆頭に何かをじっと鑑賞するのが苦手だ。だが対照的に、インターネットやスマホは大好きである。

両方「見る」という点は同じように思えるが、テレビは受動的であり、ネットは能動的だと思う。

テレビは基本的に流れてくるものを「箱の中に人がいてすげえなあ」と思いながら口を開けて見るものだが、PCやスマホは自らの興味の赴くまま、クリックに継ぐクリック、タップ&タップ&ターン&ゲッツ!と気づいたらタブが20個ぐらい開いているという、アクティブスポーツであり、落ち着きのない人間には向いているのである。よってネットでもyoutubeなどをジッと見るのは苦手であり、大体作業をしながら流し、画面を見ていない、というラジオ的使い方をしている。

ゲーム実況動画なども全くゲーム画面を見ていないので「好きな実況者は?」と言われたら「声がデカく絶え間なくしゃべり、テキストを全部朗読してしまう人です」と答える。

こういう人間に、テレビを見せても、受動であるテレビを何とかアクティブスポーツにしようと「高速チャンネルチェンジ」という新競技に挑みだすので、一緒に見ている人はストレスを感じると思う。

よって私個人はテレビをほとんど見ない、見るとしたら「SASUKE」「芸能人格付けチェック」「プロ野球戦力外通知 クビを宣告された男たち」ぐらいだ。

その三番組がなくなってしまったら、もはや私にテレビは不要となってしまうので、ぜひこれからもプロ野球選手の方にはクビを宣告され続けて欲しい。

テレビとネットとの違いは、受動と能動だけではない、テレビの方はコミュニケーションツールとして使うことができるが、ネットの方は主にコミュニケーションを断絶させる効果がある。

何を言っている、どう考えてもネットはコミュニケーションツールじゃないかと思われるかもしれないが、我々が平素ネットでコミュニケーションしている相手は「顔も名前も知らないけれど、ショタコンでケータきゅんが大好きということだけは良く知っている人」である。そういう人たちとの画面越しのコミュニケーションに没頭すればするほど、家族など、リアルの世界で傍にいる人間とのコミュニケーションが疎かになってしまうのだ。