「アルテイシアは激怒した」子宮全摘1周年記念④/59番目のマリアージュ

アルテイシア連載のサムネイル画像

 子宮筋腫は非常にポピュラーな病気だが、その割に詳しく知られていない。私も症状が出て初めて、こんなにも人生や生活を左右するものだと知った。

 手術前は月の半分が生理だったし、タンポンとナプキンを併用しても1時間もたなかった。私は在宅仕事なのでどうにかなったが、会社勤めの人は本当に大変だと思う。

 そのうえ「生死に関わる病気じゃないし」「たかが生理で休むなんて」と周囲の無理解に苦しむ人も多い。そんな連中はケツ毛に着火して火だるまにしたいが、法治国家ではそう火だるまにもできない。

 だからこそ、信頼できる医師に相談してほしい。今は治療の選択肢が増えているし、「生理の悩みはガマンするもの」という時代じゃない。

 検診を受けることで早期発見できる病気もある。

 …と頭ではわかっていても「婦人科はハードルが高い」という女性は多い。

「内診がイヤだから婦人科には行かない」という女友達に「年間何千人もの人が子宮頸がんや子宮体がんで亡くなってるんだよ?」と話すと「その時はもう諦める」と返されて、マジか!と思った。

 私のように、ひらりと診察台に飛び乗り「今年はタイガースどうですかね~」と世間話しながら内診を受ける女は、奇行種なのだろう。

 ちなみにVIO脱毛を受ける際、四つん這いでOラインを処理されながら「これ恥ずかしがりやの人はキツいでしょうね」と言うと「恥ずかしがりやの人はVIO脱毛をしません」と返された。たしかに「シャイなパイパン」とか違和感がある。

 またIラインの処理の際「小陰唇がでかくてすみません」と小陰唇について謝罪したら「普通のサイズですよ」と返された。

アル「そうですか、びっくりするような女性器ってあります?」

施術者「ないです、もうさんざん見飽きてますから」

 そう、脱毛も内診もする側は見飽きているのだ。自分にとっては特別なオンリーワンのマンコでも、相手にとっては何万個の1つに過ぎない。王将のスタッフにとっての餃子みたいなものだ。

「餃子みたいなもの」と考えたら、少しは気が楽にならないだろうか。

「でも痛いし」という意見もわかる。私もクスコ(膣鏡)を挿入される時は、風呂につかるジジイになりきって「ぶわああ~~~」と深いため息をつき、全身の力を抜く。体に力が入っていると何倍も痛く感じるからだ。

 夫に「内診の痛みを軽減する方法はないか?」と聞くと「般若心経を唱えることだ」と返された。

アル「般若心経はそんなに万能なのか?」

夫「三蔵法師がわざわざ天竺までとりにいったんだぞ」

アル「まあマチャアキとか大変そうやったよな」(※昭和生まれなので香取慎吾ではない)

 たしかに経を唱えることで精神集中できていいかもしれない。

 読経もいいが、オナニーもおすすめだ。私は日頃からバイブ等に慣れ親しんでいるため、異物の挿入に抵抗がない。

 とはいえ、自分で入れるのと他人が入れるのは違う。

 女友達は内診の時に痛がったら「セックスしたことあるんでしょ!」と医師に暴言を吐かれたという。足の指で器用に目つぶししたいところだが、患者が医師に抗議するのはなかなか難しい。

 こんなイヤな思いをしたら「二度と婦人科なんて行くものか」と思って当然だろう。

 世の中にはいいお医者さんもいっぱいいるが、きっちり説明してくれない医者、一方的に治療の方針を押しつけてくる医者もいる。私も病気になって、医者選びの大切さを思い知った。

 入院中も「ほんと医者によって全然違うな」と実感する出来事があった。