人は寝ないと…
しかし、実は別々に眠りたいと思っている夫婦は多いらしい。
そんなにみんな寝グソをひっているのか、と思ったが、どうやらクソはしてなくてもパートナーと一緒に寝ることにストレスを感じている人が多く、特に女性の割合が高いようだ。
その理由は、イビキ、生活習慣の違いで眠りが妨げられる、またドストレートに「寝る時ぐらい一人になりたい」というものが挙げられている。
夫婦の寝室を分けることは、セックスレスを加速させ夫婦を疎遠にさせるように思える。しかし仮にそうだとしても、一緒に寝るのがストレスなら寝室を分けることを優先した方がいい。
何故なら、意外なことに、人は寝ないと死ぬのである。
まさかと思っただろう、私も最初は耳を疑った、だがどうやらマジなようだ。
そして死ぬと、セックスできないし、パートナーと仲良くするどころか揉めることさえもできなくなる。
つまり人間は何よりも「寝(ね)」を最優先すべきなのだ。
しかし、現代人は寝(ね)の時間を十分確保することすら難しい。特に日本の40代~50代の女性は今世界で一番寝ていないそうだ。
かつては寝不足と言えば社畜、つまり日本の男性サラリーマンのイメージがあったかもしれないが、今は女性の方が仕事に加え、家事育児、時には介護にまで追われ睡眠時間が十分に確保できなくなっているのだ。
「女性が働くのは当たり前」に対し「男性が家事育児をやるのは当たり前」が全く追いついていない弊害が睡眠時間に出てきてしまっているのだ。
私は10時間ぐらい寝ているので、この件に関しては「ちょっと男子~!」と怒り狂う権利がない。むしろ怒り狂われる側なので、別のワンオペダブルケア状態の方に代わりに怒り狂っていただくとして、ともかく睡眠時間を多く取れないならその分「眠りの質」を上げるしかない。
それにもかかわらず、パートナーがイビキのバイブスを歯ぎしりで高めていたり、音を消さずにソシャゲをやって延々レベルアップ音や「王の話をするとしよう…」という謎のセリフを鳴り響かせ続けていたら、例えそれが櫻井孝宏ボイスでも眠りのクオリティは下がるばかりであり、そのうち死ぬ。
夫婦だから一緒に寝るべき、就寝分離を提案するのは愛がないと思われるのではという「義務の同衾」より、忙しい現代人は「快適な眠り」の方を優先させるべきなのである。
しかし、途中から寝室を分けようと提案するのは気が引けるのは確かであろうから、1人で寝たい場合は最初から「私、夜は1人で寝たい人だから」と、ウザい自己主張風に言った方がいいだろう。そう言われたら相手も「勝手にしやがれ」と思うはずだ。
ちなみに私は今のところ夫と寝ることにストレスは感じていない。
お互い寝る時間がほとんど同じだし、ソシャゲの周回も音を消すからだ。
しかし寒い季節は布団の取り合いになり、起きたら「身ぐるみを剥がされている」ということはたまにある。
Text/カレー沢薫
次回は<気づいたら私は泣いていた「デートの思い出」>です。
デートに関してはそれぞれ様々な思い出があるもの。楽しかったデートや感動したデートなど、印象深い思い出が誰の胸にもあるはずです。しかし、カレー沢先生には「○○すぎて泣いた」デートの思い出があるようで……?
カレーなる夫婦生活が書籍化!
夫婦コラムのはずの本連載が、土方歳三への愛を綴った廃人日記として書籍化されました。
愛に生き愛に死ぬカレー沢さんのガチャ爆死録は必見です!
- 1
- 2