割と似ているところ

世の中では「オタ婚活」という、オタ同士なら仲良くなれんだろ、という雑な婚活イベントが開催されているようだが、正直「趣味が共通している」から上手くいくわけではないのである。
むしろジャンルが完全に一致している方が「逆カプ離婚」が起り得る。

「私はヒプノシスマイクMAD TRIGGER CREW推しのYO!!Illmatic 入間銃兎 a.k.a 45 ラビット. In the building!!!!!!!!!で彼は黒猫のジジ」みたいな枝葉の違いはどうでも良いのだ。もっと幹や根の部分が共通しているかどうかを見るべきである。

つまり、趣味は、宝塚でもアマチュア無線でもなんでもいいが「趣味に月いくらかけているか」などが近くないと、特に結婚してからはキツくなる。
また「どのぐらい相手の趣味に介入するか」もある程度同じでないと、揉める元である。
放っておいて欲しい派と、相手の趣味を詳細まで把握したい派がつきあっても上手く行くはずがない。

私と夫は、このあたりが割と似ていると思う。
金銭感覚に関しては、私はガチャに散財することはあるが、他のことには全然使わない。逆に夫は結構細々としたものを買ってくるし、飲みにも行くので、トータルでは同じぐらいだと思う。
お互い、割と金にルーズというあまり良くない共通点だが、片やブランド物が好きで、片やユニクロを乳首が透けるまで着るというカップルの方が絶対揉めると思う。
グダグダでもお互いがグダグダならケンカは起りにくいのである。

私は二次元クソ萌え豚で、夫はゲームや漫画は嗜むが、そのキャラクターを性的な目で見るなど夢にも思わないタイプである。
だが、お互いの趣味に干渉しない、というか「完無視」なところは完全に一致なのだ。

私が「ちょっと」という言葉だけを残して東京へ飛び、両肩にDB(ドスケベブック)が入ったトートバックの紐を「もう少しで腕とれそう」なところまでめり込ませて帰って来た日も、そのDBがクローゼットの8割を占拠している今も、夫は何も言わない。
気づいてないはずはない。クローゼットを開けたら、あられもない姿をした私の推しのケツと目が合う仕様なのだ。

きっと夫は「これは絶対聞いてはダメなこと」と思っているのだろう。それは私の為もあるかもしれないが、聞いたところで自分が困るだけということがわかっているからかもしれない。
これは私が「ナイトメア」について「聞いたらこっちがキツくなるやつだ」と判断して詳しく聞かなかったのと同じ理由だろう。

たとえ、パートナーのことでも「掘ってもロクなことが出てこない話は掘らない」という点は相当似ていると言える。

次回は<夫のほうが破滅の才能は上だった「夫婦の健康について」>です。
カレー沢薫さんの今週のテーマは「夫婦の健康について」。ガチャにさえ出会わなければ健康そのもののカレー沢さん。実は、ストロングゼロ常飲の旦那さんのほうが「破滅の才能」がある様子で……。

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