2兆円とパートナー、どちらを選ぶ?/59番目のマリアージュ

 私は姉妹サイトAMの「アルテイシアの恋愛デスマッチ」にて、読者の婚活カウンセリングを行っている。

 最新の記事にはツイッターで人気の「そこにいる喪女」さんが登場してくれて、以下のような会話を交わした。

アル:もし今、宝くじで二兆円当たったらどうする?

そこ喪:たぶん「結婚しなくていい!」ってなりますね。(略)もし子ども欲しいってなったら「2兆円あるならむしろ、やれる気がする」と1人で産むかもしれないし、逆に男はいらないってなりそう。

アル:やっぱり、そこ喪ちゃんは「男いらず」なんだと思うよ。男が欲しい人は2兆円あっても関係なく男が欲しいから。

そこ喪:マジですか?私は男がいなくてもアイドルがいれば満たされますね。

アル:私は2兆円があっても絶対に結婚したと思う。「2兆円とパートナー、どっちを選ぶか?」と聞かれたら、パートナーを選んだ。それぐらい家族が欲しかったから。

そこ喪:おお~…私は2兆円を選びます(笑)

 この記事に対して、担当アサシン嬢から「私も2兆円あっても結婚しました!」との感想が寄せられた。

 「そこ喪さんの話を読んで、いろんなタイプがいるんだな~と思いました。私は『推しは確保したから次は男だ』と思うタイプですが、私みたいな『推しは別腹』と『推しで満腹』タイプがいるんですね。男いらずの方のお話は、自分と違うからこそ新鮮です!」とのこと。

 そう、世の中にはいろんなタイプがいて、それぞれ向き不向きがある。それなのに「万人が結婚すべき」「結婚した方が幸せ」と決めつける方が間違っている。

 私は18歳から29歳まで1人暮らしをしていたが、1人暮らしが向いていると思ったことは一度もなかった。いつでも「寂しい、一緒に暮らす家族がほしい」と思っていた。

 両親と絶縁していたため、年末年始は帰る実家がなくて特に寂しかった。「実家に帰省するのがダルい」と話す友達が羨ましかった。

 大学時代に彼氏と同棲していた時期があって、その時は寂しくなかった。人と暮らす煩わしさはあったが、それ以上に同じ家に誰かがいることや、他愛のない会話ができることが嬉しかった。

 嬉しいというか、私にはそれが必要だったのだ。

 寒さに弱い人間は毛布がないと凍え死ぬ。私も一緒に暮らす相手がいないと死にそうになるので、必死で求めた。必死なあまり、ろくでもないクズ毛布に手を伸ばすこともあった。

 一方、寒さに強い人は毛布がなくても平気だし、むしろ「暑い!ウザい!」と感じるのだろう。

「結婚できない自分は欠陥があるのでは?」という声を耳にするが、私からすると「完全生命体なのでは?」と思う。寒くても死なず、一匹でも生きられる方が生物としては強い。

 たとえ仕事や趣味や友人関係が充実していても、私は「何かが欠けている」といつも感じていた。夫と結婚したことで必要なピースが埋まって、ヘラりがちなメンが安定して、「ようやく生きていける」と思った。

 そんな不完全な私は、男いらずな人が本気で羨ましかった。

 女友達の1人に、究極の男いらずの女子がいる。その彼女は、何もない真っ白な直方体の空間に住んでいる。