「許さなくていいよ」

アル

元の性格は変わらなくても、考え方のクセや行動は変えていけますよね。
「これが正しい」「こうあるべき」「こんな自分はダメだ」という刷り込みを自覚して、「それって本当なの?」「なんでそう思うの?」と自分にインタビューするとか。
そういうのを書き出したりするうちに、自分の「心の声」や「本心」が見えてくると思うんですよ。

菊池

自分の感情を見つめて、吐き出すのもいいですよね。親に対する怒りとか、親を許せない気持ちとか。

アル

『毒親サバイバル』の帯にある「許さなくていいよ」は、すごく大切なメッセージだと思います。毒親ポルノの悪影響で「親を許すべき」「親子は仲良くすべき」という価値観が強いじゃないですか。

菊池

毒親ポルノを見て感動する人の中には、親から逃げてきた元・子どもに向かって「あなたももう親を許してあげたら」とか言う人もいますよね。だからこそ「親だからという理由だけで許す必要なんてない」と言い続けたいです。

アル

そうですよ。だって「自分をいじめたイジメっ子を許してあげろ」なんて誰も言わないわけだし。

担当ハタノ

アルテイシアさんは恋愛コラムでも「自分にひどいことをした過去の男を許さなくていい」と書かれてますよね。あの言葉に救われる女子も多いと思います。

アル

ひどいことされたら許せなくて当然なのに、「許せない自分はダメだ」と自分を責めて、ますますつらくなる女子が多いので。
あれも失恋ポルノの悪影響がありますよね。「どんな男でも許すのが女の器」みたいな。綺麗事抜かしやがってと思うので「カマキリの卵を送ろう」と書いてます。

担当ハタノ

(笑)実際カマキリの卵を送らなくても、その心意気が大事ですよね。

アル

「ちゃんと怒れる」「イヤなことをイヤと言える」方が、ずっと大事じゃないですか。じゃないとまたクソ男に引っかかっちゃうし。

菊池

うーん、わかるぞ(笑)

アル

前にクソな元彼からナメたLINEが来たことがあって、「最近どうしてる~?」みたいな。酔っ払ってたんでつい、バラバラ死体の画像を送ってしまったんですけど(笑)

一同:(笑)

アル

相手はめっちゃ怖かったやろうなって。

担当ハタノ

あのモザイクないやつですよね?

アル

そうそう、「バラバラ死体」で画像検索して送ったんです。しかも4枚送ったら3枚目でブロックされた。

一同:(爆笑)

菊池

「恨みを忘れない」が座右の銘なんですよね(笑)

アル

末代まで呪ってやると思ってるけど、最近はもう名前も出てこなくて、デスノートがあっても書けない(笑)。でも、そういうものですよね。許そうと思って許すんじゃなく、どうでもよくなるじゃないですか。

菊池

そう、それです! 私もDV彼氏のことを別に許してはいなくて、ひでえことしやがったなとは思ってるけど、もうどうでもいい。

アル

相手が死のうが生きようがみたいな感じですよね。相手の存在が小さくなるっていう、それは毒親も同じだと思う。

菊池

うんうん、そうですよね。許そうと思って許すとかじゃなく、親の存在がどうでもよくなる。

アル

私も親に対して、愛も憎も何もないみたいな感じです。でもその前に、いったん憎むのがいいと思います。「私が生きづらいのはあんたらのせいだ!」と憎んだり怒ったりして、感情を吐き出すのが。

菊池

本当にそう思う。私はなかなかできなかったので、ずっと。なので今回、自殺した母親に怒れたのはすごく良かったなと思ってます。

―次回は菊池さんの「DV彼氏との別れから現在の恋愛まで」のお話や、「毒親育ちの恋愛と結婚」について語ります!

次回は<菊池真理子×アルテイシア対談②「毒親育ちと結婚、選ばれる女の呪い」>です。
毒親家庭で育った元・子どもたちの体験を描いたノンフィクションコミック『毒親サバイバル』の菊池真理子さんと、アルテイシアさんの対談です。お2人の結婚観、「男に選ばれる女」になれという呪いなどについて語ってくださいました!

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