毒親カムアウトの受け止め方
「毒親育ちの友人や恋人の気持ちをわかりたいけど、わからない」と悩む人もいるだろう。
LGBTに関する記事に『同性を好きになる感覚を理解する必要はなく、「自分が異性を好きになるように、同性を好きになる人がいるんだな」と頭で分かっていれば十分で、心までついていかせる必要はありません』とあった。
毒親も同じである。「自分は親を好きだけど、親を嫌いな人もいるんだな」と頭で理解してくれればいい。かつ「親を嫌いたい子どもなんていなくて、愛したいけど愛せないからつらい」「そのことで、本人が誰よりも自分を責めている」ということも、理解してほしい。
毒親育ちは「子どもを愛さない親はいない」「だから親を嫌うなんておかしい」という一般論に傷つき、罪悪感を刷り込まれている。そのため「親にさんざん傷つけられたんだから、親を嫌いで当然だ、それでいいのだ」と簡単には思えないのだ。
LGBTと同様、最近は毒親情報も増えてきて「子どもを愛さない親、傷つける親もいる」と周知されてきた。冒頭のクソ婚約者のような人間はよほどの情弱だろう。
とはいえ親に愛されて育った人が、毒親についてカムアウトされた時にリアクションに迷うのもわかる。
迷った時は「イジメの被害者にそれ言うか?」と考えてみてほしい。
毒親育ちは親からイジメを受けて育ったのだ。日常的な暴言・暴力・逆ギレ・無視・脅迫にさらされて「言うことを聞かないと、何をされるかわからない」と不安と恐怖に怯えてきた。
そんな被害者に向かって「話し合えばわかりあえる」「いじめた方にも事情があった」「いじめた相手を許せ」「結婚式に呼べ」なんて、まともな人間は言わないだろう。
だが、世の中には「ろうがい」という種族がいて「血のつながった親子なんだから」「育ててもらった恩があるでしょ」と説教してくる。
血のつながった親子だから、わかりあえないのだ。
親は子どもを支配できる存在だと信じていて、育ててやった恩があると思っているから、対等な話し合いなどできない。
実際、毒親と話し合って分かり合えたという話は、ほとんど聞いたことがない。
大体は「親が年老いてパワーが衰えて、呪いが弱まる」というケースが多い。とはいえ、なかなか弱らない親もいるので厄介だ。
毒親の呪いの盾になってくれるのが、友人や恋人の存在だ。信頼できる人々の支えによって、過去のトラウマを克服できることも多い。
だが「毒親の話をしたら引かれるんじゃないか」「相手は離れていくんじゃないか」「もっと傷つくことになるんじゃないか」とカムアウトできない人も多い。
私も相手のリアクションに傷ついたことが何度もあった。
以下「こんなリアクションはつらい」「こんなリアクションが嬉しい」という毒親育ちの声を紹介しよう。