「家事をするのは損」とすら思っているタイプ

金にならない労働を徹底してやりたがらない人間は、家事に対し「やりたがらない」を超えて「何故そんなことをしなければいけないのか」という半ギレの姿勢なので、家事をしてくれと提案しただけで怒り出す可能性がある。
さらに「金にならないことはしたくない」ということは「自分の得にならないことはしたくない」という考えを持っているかもしれないのだ。
つまり配偶者や子供含む自分以外の人間のために動く気がないという、結婚と家庭の才能がゼロの人間の可能性が高いのである。

むしろ「家事をするのは損」とすら思っているため、例え暇だったとしても家事というマイナス行為を行うぐらいなら「虚空を見つめる」というプラマイゼロ行為を選ぶ。

よって私も、現在は「仕事が忙しい」という名目で家事をおろそかにしているが、干されたとしても家事はやらないだろう。
むしろ家事をしない言い訳が欲しくて仕事をしていると言って良い。

よく専業主婦は楽と言われるが、世間の風当たりが強い上に目に見える対価がない仕事に従事するというのは全然楽ではない。

このように私は例え時間があっても虚空見つめるだけで何もしないので、まだ小銭でも稼げる仕事をさせていた方がマシなタイプなのである。

よって、作家の仕事を干された後でも何らか仕事をしたいと思っているのだが、残念なことに、結婚や家庭、家事の才能には恵まれていないが、社会の中で他人と働く才能にはもっと恵まれなかった。
家庭と社会、両方の才能を持っている人がいるとしたら、おそらく片方は私に行くはずだったものなので、今すぐどっちか返してほしい。
両方持っていたら、むしろ周囲に頼られすぎて辛いだろう、その重荷を半分背負ってやっていい。

副業といえば、今日家にヤクルトレディがやってきた。
ヤクルトといえば、今空前の1000ブームである。
ついに我が家にも1000を売りに来たのかと思ったが、1000を売るレディをやらないかというスカウトであった。

「それよりお前1000を持っているんじゃないか、ジャンプしてみろよ」と言いかけたが、ヤクルト1000狩りをするにはまだ日が高かったので、丁重にお断りした。

ヤクルトレディというのは、配達員ではなく、営業配達員である、売上が出せずに自爆営業をしてヤクルト2兆ぐらいになっている自分の姿が容易に想像がつく。

しかし、作家の仕事もなく、家事もしてないのであれば「レディやれよ」という話になってしまうだろう。

家事、そしてレディをやらない言い訳のためにも、作家業にしがみついていくしかない。

Text/カレー沢薫

夫婦コラムのはずの本連載が、土方歳三への愛を綴った廃人日記として書籍化されました。

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