2千万は無理でもベッドがダンボールなど紙は避けたい場合「夫婦と貯蓄」

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今回のテーマは「夫婦と貯蓄」である。

「老後二千万」という今年の流行語候補が爆誕して久しいが、皆さんは何か対策を始めているだろうか。

そもそもそんなの無理だ、と憤っている人も多いとは思うが、その怒りで発電できるというならまだしも、怒っているだけでは、腹が減るだけで、むしろ家計に悪い。

二千万は無理でも、そこに近づく行動をするのとしないのとでは、老人ホームのベッドのグレードが変わってくるし、最悪ベッドの材質がダンボールや新聞紙などの「紙」になりかねない。

しかし、単身者は良いとして、既婚者や家計を同一とするパートナーがいる人間が、目標を持って今よりも貯蓄をしようと思ったら、相手との話し合いは不可欠になるだろう。

確かに、どれだけオナニーを頑張っても子供は生まれないのと違って、金は1人で生み出せるものだ。しかし相手が同じペースで負債を生み出していたら全くの無意味である。二人のための老後資金をつくるなら、なおさら足並みはそろえた方が良い。

しかし金の話、というのは重要度も高いが、難易度もトップクラスに高い。共働きが当たり前になった現代「固定費をどちらが払うか程度だけ決めて、あとは自由、貯金も個々に任す」という方法を取っている家庭も多いと思う。

おそらくこの方法が一番お互いにストレスが少ない、つまり「楽」で「自由」なのだ。この方法を変えるとなると、今までの楽さ自由さが失われ「窮屈」になってしまう可能性がある。それを双方が恐れ、何となくお互い「その話には触れないようにしよう」としてしまうのだ。ある意味足並みがそろっているのだが、それは二人そろって現実逃避しているとも言って良い。

また「うちは全然ケンカしない」ことが売りの夫婦がたまにいる、うちもそうだ。

ここで気をつけなければいけないのは「だからと言って仲が良いというわけでもない」そして「ケンカしないこと以外、特に売りがない」という夫婦だ。

こういう夫婦は、意見が合うからケンカしないわけではない「意見が食い違いそうな話し合い」を最初から徹底的に避けているのである。

つまり、戦わないことで生まれた「無敗伝説」なのだ。