夫と両親と事前に話しておくのも大切

何だか恐ろしい話ばかりになってしましました。

ただ、長男だからといって、同居や介護が当たり前というわけではありません。

先ほど紹介したように、家自体が冠婚葬祭をそもそも重視していない(家系を重要視していない)とか、長男が出身地から遠く離れて暮らしていて仕事の都合で地元に戻ることがないとか、本人としても家を継ぐ意識がないことはあります。

結局は、長男である本人と、そしてその親がどう考えているか次第です。

結婚当初から「長男だから義実家との付き合いが面倒かも!」とハリネズミ状態だと、まとまる話もまとまりません。同居や墓についてどう考えているかを、どこかのタイミングでそれとなく探っておくのがお勧めです。

なお、すでに長男の嫁として巻き込まれている同居や介護に巻き込まれている場合は、基本原則どおり、実子である夫に上手く立ち回ってもらうことになります。

「長男だから背負わばければいけない」わけではない

ここまで長男に対して厳しいことばかり書いてきましたが、長男だって長男として生まれたくて生まれたわけではないですよね。加害者というわけではなく、時には、家を守ることを期待された被害者といえるかもしれません。

もし、自分が長男だから家のために何かをしなければならないと思っているのであれば、それが自分の意思なのか、配偶者が望むことなのかは少しだけ考えてもらうといいと思います。

きょうだいがいればきょうだいで冠婚葬祭や両親の世話を分担してもいいわけです。また、介護では行政の手も借りられる部分もあります。何が何でも長男が対応しなければいけないわけではありません。

Text/斗比主閲子
※2017年5月10日に「TOFUFU」で掲載しました。