ふたりの中でスタンダートになっていく

これまでお話しした方法は、自分ばかりじゃなく、お互いにできていないといけないですよね。自分がどんなに努力したからといって、相手も同じだけのものを返してくれるわけではありません。
ちなみに、わたしは夫と付き合ったばかりの頃、「ふと我に返ってみる」「相手のいい部分に気づいたときは逐一言葉にする」はできていませんでした。もちろん、感謝の言葉はきちんと口にしていましたし、自分の感情は心に留めているだけでは伝わらないとわかっていたので伝える努力はしていましたが、当時のわたしは照れが先行していたのかもしれません。
でも、夫が何かにつけて「おれたちすっごく仲良しじゃない?」「こんなにも幸せなことってある……?」と言ってきたり、「君のこういうところはほんとうにいい、最高」「そういうところがほんとうに素敵だから大好き」と褒めてくれたりしているうちに、徐々に照れや緊張も解けていったように思います。

カップルや夫婦は一緒に過ごす時間が長く、生活の一部も重なりますから、お互いに影響を及ぼすでしょう。自分だけするのは損をしている気がする、と諦めてしまうのではなく、「だって本当のことだし」「こっちのほうがいいじゃん」とさも当たり前のように能動的に発言していくことで、相手とのコミュニケーションの中でスタンダードになっていくのではないかな、と期待しています。

でも、かなしいかな、お付き合いや結婚は相手あってのことですし、タイミングなどからもどうしたって上手くいかないときはあります。“今だけ”の呪いのようになるとは限らない、とお話しさせていただきましたが、あなたが危惧するような結果になるかもしれません。それはとてもかなしいことですよね。できるだけ長く一緒にいたい、仲良しのままずっと過ごしていたいと願い、そのための努力をしていたのですから当然でしょう。
でももしそうなってしまっても、自分のやり方が悪かっただとか、自分は愛されない存在なんだとか、呪いの通りになったとか、どうかそんな風に思わないでほしいのです。たとえかなしい結果になったとしても、その経験から得られる知見はたくさんあるはずで、つらいときに傍で支えてくれた存在のありがたさに気づく場合もありますから。

最後に、あまり自分に対してプレッシャーを与えないでくださいね。
「この人とずっと一緒にいるって決めたから」と過去の決意に固執したり、「この関係こそが理想であり、それ以外は幸せではない」と視野狭窄に陥ってしまったりすると、つらいときに逃げ出せなくなったり助けを求められなくなったりしてしまいますから。
ずっと続くことばかりが幸せとは限らない場合もあるんです。
相手との関係を考えるうえで、なによりもあなた自身の感情をどうか大事にしてください。
あなたの感情や価値観に変化が訪れたとき、それに伴って恋人との関係にも変化が起こることは決して悪いわけでない、と心に留めておいていただけたらと思います。

Text/ものすごい愛
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