男女の本音のズレを的確に描いた大ヒットマンガ『アラサーちゃん』(扶桑社)。その作者である峰なゆかさんが、次に手がけたのは、自身の経験を基にAV女優デビューのいきさつなどを描いた半自伝的な作品『AV女優ちゃん』(扶桑社)。第一巻が昨年末に発売になるや、その赤裸々っぷりが話題に。 待望の第二巻は6月末発売予定です。
「あなたがAVに出演するとしたらギャラはこれくらいです」
──作品中の、女に明確に値段がついていく過程、田舎でのヤリマンが偉いというヒエラルキー、サイン会での出来事、爆乳の女の子がイメージビデオの撮影と偽られAVデビューしてしまう下りなど、どれも濃いエピソードが並んでいて、読者からの反響もすごいですよね。
とくに顔5万! 胸45万! 肩書き100万! と、バチバチバチッと値段がついていくのがわかりやすすぎて衝撃でした。ご自身で、ここにこんな値段つくの? みたいな戸惑いはありましたか?
峰さん:元々、自分を高値で売りさばきたい願望があったんですよね。だから、わりと高いんだなって。
──「ラッキー!」って感覚に近いですか?
峰さん:いや、どちらかというと「やっぱり?」って感じでしたかね。「もしかして、そうじゃないかと思っていたけど、やっぱり~!」みたいな感じです(笑)。発見でした。
──この値段の提示というのは、スカウトマンからどんな風に行われたんですか?
峰さん:まず、顔しかみていない状態での値段がついて、「胸でかい」ってなって値段がまた上がって、「から騒ぎ出てたんだ」ってまた値段が上がっていくのを、その場でみていた感じです。
──面と向かって値段を付けられるってなかなか機会ないですよね。就職活動して、初任給がいくらというのは提示されるんですが。
峰さん:初任給の値段も、個人事業主としての年収も、AV女優のギャラも自分に値段をつけられてるというのは同じなのでみんなそれぞれの場所で値段をつけられているんじゃないかな。
ちなみに「あなたがAVに出演するとしたらギャラはこれくらいです」って診断されるのどうですか?
──めっちゃ興味ありますね。
峰さん:やっぱり! 絶対そうだと思うんですよね。
──アプリとかあったらやってみたいです、気分いいかは別として。だからおもしろいなと思いました。元○○というのは、その人自身の努力かもしれないけど、作中でスカウトマンが「すっぴん坊主で全裸になった姿を想像してみろ」と言いますが、顔や巨乳であることなどは努力の範疇外の気もして、でも、そこに値段がついてしまうという。
峰さん:でも、体型とかは努力もあるじゃないですか。胸にしても、手術で入れる覚悟を決められるかどうか、どれくらい入れるかとか、その人次第なところがあるので。むしろ、見た目って覚悟と努力で変えやすい部分なのではと思いますね。
AV女優の評価軸
──やはり、胸は大きいほうがギャラが高くなるんですね。AV女優としてはどんな人がウケるというのはあるのでしょうか。
峰さん:いわゆる普通……という子よりかはレア度が高いほう、珍しいほうが値段が上がりますね。ただ、長くいいギャラが出るかという点だと、単純に顔が可愛くてスタイルがいい人がいいわけじゃないんですよね。普通の体型でそんなに美人でもないっていう子が長く人気があるケースも多いので。あとはそもそも長く続けることが難しい。20年続けている方とかは、すっごいメンタルが強いと思うので、それも才能ですよね。そのメンタル保つ秘訣を教えてほしいですね。
──見ているユーザー側の傾向もありますもんね。
峰さん:そうですね、ユーザーの層の評価軸も色々あって。ライトユーザーからしたら、すごくエロかったり、エンターテインメント性が高いものがいいんですけど、AVガチファンからしたら、女優のブログを読んでほっこりカフェに行ってる様子を知るのが楽しかったり……。よりAVを楽しむために、インタビュー読んでAV女優になった経緯を詳しく知ろうとしたりするんですよね。
あとは、ファンの方と監督とかの業界内の男性にウケる感じってまた違って。
「今まで一丁前にセックスしてたつもりでしたが、○○監督によって本当のエクスタシーを知りました」みたいなのは、監督にウケがいいですよね。
──そういうのは監督ウケいいでしょうね。
峰さん:そう、ギャラの金額以外にも評価軸自体は色々あるんですよね。
でも、AV業界に限らず評価軸ってたくさんありますよね。一般人だって、同年代男性にどう値踏みされるか、とか。同年代でも地方の男の人と東京の男の人、低所得者層と高所得者層だと、合コンで求められるキャラがぜんぜん違う。
例えば、港区界隈でウケるって特殊じゃないですか? 港区でウケるような、頑張っている女の子って貧乏人にはウケないっていうか。港区で頑張ろうって気概がない男には絶対モテないというか。下北沢とかでもモテないし。
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