不満な出来事を工夫していくのは腕の見せ所

おそらく、心のどこかでは「自分の期待に応えてくれるんじゃないか」とか、「自分がこれだけ相手にしているのだから、相手も同じだけ返してほしい」とか、「支配しているつもりはない、きっとこの程度なら大丈夫なはず」とか、そういう「もしかしたら自分の気持ちを汲み取ってくれるかもしれない」「きっとわかってくれるはず」という期待が、根底では拭えていないのではないでしょうか。

今までの恋愛では上手くいかないことが多かったから、きっと自分のやり方はよくなかったんだろうな。世間的には自分のやり方はあまり好まれないみたいだから、それに合わせておこう……そんな風に、納得できていないまま“わかったふり”で留まっていて、悪循環から抜け出せずに苦しい思いを抱えているように感じました。

そうやって無理矢理に自分を型に嵌めて過ごすのって、とてもつらいと思うんですよ。そして、自分を取り繕いながら誰かとお付き合いしたとしても、きっといつか大爆発を起こしてしまいます。

恋愛において、相手に対する「好き」という気持ちが大事なのは大前提ですが、相性というのも無視できないものです。生来の連絡無精の人もいれば、いつだってマメに連絡を取り合いたい人もいるように、本来のあなたのままでも、今後出会う人の中にはあなたと似た恋愛観を持つ人がいるかもしれません。
過去の連載でもお伝えしていますが、時には「相性が悪かった!」とある程度割り切ることも重要です。なんでもかんでも悲観的になったり、自分を責めたりする必要はないんですよ。でないと、余計にこれまでの悪循環から抜け出すのは難しくなってしまいますからね。

ただ、あなたの相談文でひとつ気になった部分があります。
それは、「変化がこわい」と思っているところ。
なんとなく、あなたは悪い方向にいくことを変化だと捉えているように感じたのですが、いい方向にいくことも「変化」ですよね。
自分が望んだ方向だろうが、そうでなかろうが、変化が全くない人生ほど恐ろしいものはありません。

たとえば、学生時代は時間に余裕があって毎日のように会えたり、頻繁に連絡を取り合ったりできたとしても、就職したらそうもいかなくなりますよね。
休みが少なかったり、仕事が忙しくて気持ちに余裕がなかったり、責任ある仕事を任されたら思考を占める恋愛の割合が少なくなったりと環境の変化に伴って、関わり方も変えていかなくてはいけません。
それはどうしたって仕方のないことなんですが、なにも悲しいことばかりではなくて。
仕事で悩んでいるときに話を聞いて寄り添うことで存在のありがたさを感じたり、会えない時間に他に意識を向けることで会話の引き出しが増えて一緒に過ごす時間がより楽しいものになったり、お互いの大変さを理解することで相手の思いやりに触れたり、いい部分ってたくさんあると思うのです。
前と変わってしまった部分で不満を抱いたままにするのか、それともいい部分を見つけていくのかは、腕の見せ所なのではないでしょうか。

相談文に書かれている連絡の頻度でも、セックスの内容でも同じことが言えると思います。
人間は時間が経てばどうしたって慣れていくものですが、それをストレスなく維持したり、変化を楽しめるかどうかは本人と相手次第になります。
生きているのか心配になるほど連絡を何日も返さないだとか、大事な話をしているのにそれを無視するだとかであれば、たしかにそれはいかがなものかとは思いますが、そうではないのなら相手にも生活があるのですから、それこそあなたが支配していい部分ではありません。
相手がどういう理由で連絡を返さないのかも想像せず、理解せずに、「もっと早く返信してよ」と催促するのはちょっと自分本位ではないでしょうか。
セックスの内容について詳しく書かれてはいませんが、努力をせず闇雲に自分の要求ばかりを押し付けていないか思い返してみてほしいのです。