「互いの恋人を家に連れ込んでセックスしてもOK」2人で暮らす姉妹の話/中川淳一郎

飲み会の帰りに自転車で2人乗り

当時大学4年生だった僕は、どこへ行くのも自転車だった。あるときの合コンでやってきた近くの女子大の吉田さんは、1つ下の3年生。東京・吉祥寺の居酒屋で合コンをしたのだが、23時、他のメンバーは皆JR中央線・総武線ないしは京王井の頭線で帰ることになった。僕は家が隣駅の三鷹で、彼女の家は吉祥寺の北側にある。

というわけで、彼女は歩きで僕は自転車で帰ることに。2000年代前半の当時、自転車の飲酒運転は半ば黙認されており、警察に職務質問をされたとしても注意を受けたり、「イエローカード」をもらう程度だったので、自転車の飲酒運転者はかなり多かった。もちろん僕も今はやっていない。

「みんな帰ったんで、もう一軒行きませんか?」と吉田さんは言った。吉祥寺北口の商店街を通り、とある一軒のバーへ。ここでは午前1時30分ぐらいまで飲み、僕らは帰ることになった。

「ニノミヤさん、私を自転車の後ろに乗せて家まで送ってくれませんか?」

当時僕が乗っていたのは、銀色の7980円の安いママチャリだった。カゴがついていて、後ろには2人乗りができる席がついていた。

「構いませんが、お家の場所をちゃんと指示してくださいね」

かくして、吉祥寺の北の方に自転車で2人乗りをして走らせる。「今日は楽しかったですね」や「ニノミヤさんに会えて良かったです」などと彼女は言う。「あと5分ぐらいで着きますよ」というところで彼女は突然こう言った。

「ニノミヤさん、私、Fカップなんです」

そして、自転車の後部座席から突然僕の腹のあたりを抱き、胸を背中に押し付けてきた。この瞬間、自転車に乗っているというのに勃起をし、ドギマギとしてしまった。幸いなことに車や歩行者はいなかったため、無事に自転車を漕ぎ進めることはできたが、もしもそうではなかった場合は動揺のあまり誰かをはねたり、逆に車にはねられてしまったかもしれない。

「突然何を言うんですか!」

こう言ったが、吉田さんは「ふふーん」と言い、「家が近いことが分かったので、また来週、吉祥寺で会いませんか?」と言った。別に彼女がいるわけでもないので翌土曜日は彼女と吉祥寺でサシで飲んだ。このときも彼女を家まで自転車で送ったが、同様に家から5分のところで抱き付いてきた。

ニノミヤさん、私たち、付き合いませんか? もうすぐ就職でしょ? 学生時代に会った女の方が、いい女多いかもしれませんよ。しかも私はあなたよりも年下だから。どうせ新入社員になったら、年上としか会わないでしょ? けっこう私はおすすめかもしれませんよ」

前回「Fカップです」と抱き付いてきたこと、そして今日のサシ飲みに誘ってくれたこと、さらにはこうして自ら付き合わないか、と言ってきたことを考えると、このオファーを断ることなど考えられなかった。特に僕はモテるタイプでもないし、女性から告白されることなどなかったのだから。

そして別れ際、「来週、ウチにいらっしゃいませんか? 私は姉と一緒に住んでいますが、一緒に冬季オリンピックを見ましょうよ。その後、別に泊まっていただいても構いません」と言った。

「まぁ、自転車ですぐ帰れるので泊まるかどうかはわからないですが、ぜひぜひ行かせてください。そしてぜひ僕で良かったら付き合ってください」

僕はこう言い、翌週、彼女と会えることを楽しみにした。