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中学生の頃に憧れていたラブホテルで、僕は初めて「潮吹き」を見た/中川淳一郎

ラブホテル

毎週火曜日の17時は取引先で打ち合わせをしていた。その日は19時からお笑いのライブを見に行くことになっていたのだが、緊急の用事が入り、会社に戻らなくてはいけなくなった。

打ち合わせの参加者に「今日の19時からお笑いのライブがあって、チケット1枚ありますが、どなたか行きませんか? 僕は会社に戻らなくてはいけなくて……」と聞いた。そこにいる人たちは誰も興味がなかった、ないしは別の予定があったが、「そうしたら、お笑い好きな人も何人かいると思うので聞いておきますね」と言ってくれ、僕は「その人にあげてください!」と言い残して取引先を出た。

翌週、この打ち合わせが終わったとき、一人の女性がやってきた。他のメンバーもいる場所だ。

「はじめまして。杉山と申します。先週は○○(芸人名)のライブのチケットありがとうございました。本当に楽しかったです。私、お笑い大好きですし、あのライブは見たかったのにチケットが取れなかったので本当に良かったです」

ここで我々は名刺交換をした。他の人々には「もう打ち合わせは終わったので皆さんは席に戻ってください」と伝え、彼女と2人になった。

「あ、ニノミヤさんっておっしゃるのですね。いつも打ち合わせされている姿は見ていました」

「そうなんですか。存在を知っていただきありがとうございます」

「ところで、この前のお礼がしたいので近々飲みに行きませんか?」

「えっ、いいんですか?」

「ぜひ。いつだったらご都合よろしいですか?」

「今からってどうですか? さすがに無理ですよね……」

「いえ、あと30分ぐらいしたら行けますので、先に店に行っておいていただけますか。着いたらケータイに店の名前を送ってください」

僕は取引先から近い場所にある居酒屋に入り、彼女を待った。30分ほどすると、冬の寒い日の「あるある」なのだが、店に入った瞬間、メガネが真っ白に曇る彼女がやってきた。ロングコートにマフラーを巻いた彼女のこの姿はちょっと好きだった。メガネを取ってレンズを拭く仕草も素敵だった。

我々は生ビールで乾杯をし、お新香と冷やしトマトをまずは頼んだ。彼女はかなりの酒豪で、ビールを次々と開けていく。そして、あまり食べない。だからこんなにやせているのか。

「私、飲むときはあまり食べないんですよね。そんだけお酒好きなんです~」

とにかく明るい人だった。話題はお互いの出身地の話になった。なんと、仰天したのだが、ともに千葉県習志野市出身だったのだ。現在29歳、学年も同じで通った公立中学校は隣だった。つまり、ご近所さんだったのだ。もしも家が少し別のところにあったら同じ学校に通っていたのかもしれないのだ。2人とも東京都内で一人暮らしをしていたが、ここから先は地元の「あるある」ネタで盛り上がった。

この日は互いの終電まで飲んだのだが、次の土曜日、習志野で会うことになった。「久々に実家に帰るのもいいですね。地元で飲むってのも楽しそうですよね♪」という流れだった。

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