幸せになるために
好きになるわけじゃない

 もうひとつこのドラマがおもしろいのは、離婚という“終わり”から始まっていること。
これまでの恋愛ドラマが“恋愛/結婚の成就”というハッピーエンドでうやむやにしてきた“その先”を描いてくれているのです。

 光生と別れた結夏は、年下の青年・初島淳之介(窪田正孝)と意気投合します。
あらゆる点で気の合うふたりは、はたからみてもお似合いの新カップルに見えました。
ところが、第7話で初島から結婚を申し込まれると、結夏はその申し出を断ってしまいます。

「ごめん、無理。あんたじゃない。いいヤツだと思うよ。思うけど。幸せになるために好きになるわけじゃないから」

 そして彼女は、光生に宛てた手紙の中で、こうも書くのです。

「好きな人とは生活上、気が合わない。気が合う人は、好きになれない。
(中略)愛情と生活はいつもぶつかって、なんというか、それは私が生きるうえで抱える、とても厄介な病なのです」

「幸せになるために好きになるわけじゃない」=“好きになった人と幸せになれるとは限らない”というのは、
恋愛の本質に関わるジレンマであり、恋愛と結婚、恋人と夫婦の違いを端的に象徴するセリフです。

 好きな人と、気が合うとは限らない。わかり合えるとは限らない。幸せになれるとは限らない。

 では、私たちはいったいどうすればいいのでしょうか?

 この永遠の問いに対して、このドラマが出したとりあえずの答え。
それは、『それでも、“家族”は作れる!』というまさかの結論でした。